メジャー目指す村上宗隆が明かした“ゴジラへの敬意” 背番号55は「松井さん」
「目標のメジャーリーガーはいない」と答えた真意
確かに、松井氏はメジャー移籍直前の2002年、自己最多の50本塁打をマークしたが、目標の「55」には届かなかった。ちなみに同年、本塁打と打点の2冠を獲得するも、打率はリーグ2位の.334(首位打者は.343の中日・福留)に終わり、惜しくも3冠王を逃している。それでも、メジャーでもヤンキースの主軸として活躍し、2004年に31本塁打の日本人メジャーリーガー史上最多記録を樹立(2021年にエンゼルス・大谷翔平投手が46本で更新)。松井氏の経歴は、「行けるのであれば早く行きたいなと思っています」とメジャー志望を明確にした村上にとってまばゆいだろう。
また、松井氏は巨人の若手時代、寮の自室の畳の上でも素振りを繰り返したことがよく知られている。今でもジャイアンツ寮に、ボロボロにすり切れた畳が保存されているほど。村上も今年2月の沖縄・浦添キャンプ中、室内練習場に畳を持ち込み、その上でスパイクを脱ぎティー打撃に取り組んだ。「(足の指で)地面をつかむ感覚を意識してやりました。いい練習だと思います」とうなずく。
もっとも、過去に「○○のゴジラ」「○○のダルビッシュ」「○○2世」といった呼び名が付いた若手は数多いものの、実際に好成績を残せば、こうした二番煎じの呼び名は消えていくものだ。村上も今季から敬意を込めて「村神様」のニックネームが定着。今年のユーキャン新語・流行語大賞にもノミネートされ、「そういう言葉が浸透するのは嬉しいことです」と笑った。
メジャーリーグで理想、目標とする選手を聞かれると、「あまり、いないです。やるのは僕なので。挑戦できることになったら、僕自身が目標とされるようになりたいですし、僕にしかできないことに挑戦したい」と言い切った。ゴジラの背中を追ってプロ生活をスタートさせた村上は、いまや誰にも似ていない唯一無二の存在として、みるみるスケールアップしていく。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)