アストロズ世界一の裏で…不仲すぎたオーナーとGM 歓喜に水差した“内輪揉め”の内情
世界一の6日後にまさかのGM退任…単年オファーに「気分を害した」
5年ぶりにワールドシリーズを制したアストロズに、“内輪揉め”が表面化している。世界一の歓喜からわずか6日後の11日(日本時間12日)に、ジェームズ・クリックGMが退任。背景には、ジム・クレーンオーナーとの深刻な不仲があったと、米全国紙「USAトゥデイ」ボブ・ナイチンゲール記者が伝えている。
歓喜に酔いしれる間もなく、チームを去ることになった。記事によると、オーナーは世界一になった2日後、クリック氏に契約延長をオファー。ただ、提示したのは単年。「チームをWS制覇に導いたばかりのGMをクビにすることへの受け止められ方を心配した周囲がクレーン氏を説得した結果だろう」という。実際、ナイチンゲール記者は「かなり前からジェームズ・クリックGMをクビにしたかったのは、冷酷な事実だ」と現実を直視する。
強いチームを作ったのにもかかわらず、オファーが複数年でないことに「クリックGMは大いに気分を害した」。8日(同9日)に行われたメジャー球団のGM会議の場では、「我々(オーナーと私)は違う」「やり方が違うことがいくつかある。同じ思いを持てる事柄もある。どんな上司と部下の関係でもそうだろう」とオーナーへの不満も口にしていた。
さらにクリックGMは、翌9日(同10日)に行われるベイカー監督の続投会見について全く知らされてなかったことも告白。記事でも「意見も求められず、続投交渉にまったく絡んでいなかったということだ」と伝え、孤立は明らかだった。11日(同12日)に両者は話し合いの場を持ち、クリックGMは複数年契約と昇給を要望。オーナーは首を縦に振らず、退任劇につながった。
形式的には“契約満了”だが、事実上の解任。これまでもクレーンGMについては、球団内の複数の幹部からオーナーに対して不満が伝えられていたという。両者の溝はもはや埋まるほど浅くなく、決別の道を選んだ。
クリック氏は、サイン盗み問題で当時のジェフ・ルーノウGMらが1年間の職務停止処分となったのを受け、2020年2月にGMに就任。ルーノウ前GMはオーナーの信頼は厚かったものの、クリック氏とは3年間の在任中に溝が深まるばかりだったと、記事では伝えている。単年契約の拒否は、オーナーにとっては「魔法の言葉だった」とも。「彼(クリック氏)はそもそもチームの中に入れてもらえていなかった、それが真実だ」とまとめられている。
(Full-Count編集部)