初の首位打者・日本ハム松本剛 新庄剛志監督が11年目の飛躍を確信した“2月の涙”
松本剛は116試合の出場で打率.349で自身初のタイトルを獲得した
日本ハムの松本剛外野手が、プロ11年目で初タイトルとなる首位打者を獲得した。左膝骨折がありながらも、自身最多の116試合に出場して打率.349、3本塁打、44打点、21盗塁。実は、開幕前から飛躍のシーズンとなることを確信していたのが、新庄剛志監督だ。そのワケは、2月の春季キャンプ最終日に松本剛が流した涙だった。
指揮官にとっても喜びはひとしおだ。常々「本当に獲らせたい」と話していた勲章。レギュラーを固定せず、競争意識をうながした就任1年目の今季を振り返り「レギュラーを獲るんだって真剣に取り組んで、その筆頭になったのが松本君だった」と称えた。
懸ける思いの強さは2月の時点で感じていた。春季キャンプ最終日。ビッグボスは1軍に帯同していた松本剛に「若い選手を見たいし2軍に行ってくれ」と“降格”を告げた。「で、(松本剛が)泣いて。その涙を見たときに、この涙は必ずプラスになると」と確信したのだという。
3月25日のソフトバンクとの開幕戦前日。松本剛を呼んで“開幕4番”を告げた。「2度と(2軍に)落ちたくない。だから松本君はオールスターの手前くらいまでは『自分は2打席が勝負なんだ』って。3打席目も打てなかったらレギュラーを外されると」。強い覚悟を胸に開幕戦でマルチ安打した松本剛は、その後も安打を積み重ねた。自身も「開幕戦が僕にとって大きな一歩だった」と転機とした。