台湾連覇の中信…元阪神勢が牽引 林威助監督支えた平野コーチ、元助っ人が抑えで躍動

シリーズで胴上げ投手にもなった中信兄弟の呂彦青【写真提供:CPBL】
シリーズで胴上げ投手にもなった中信兄弟の呂彦青【写真提供:CPBL】

呂彦青は年間20セーブ…シリーズで胴上げ投手に、平野コーチはシリーズMVPの21歳を指導

 試合後のセレモニーで「故郷の台中で、満員のファンの皆さんの前での台湾一、気分は最高だね」と満面の笑顔で語った林監督。しかし、囲み取材では、林監督の母親がプレーオフ直前に交通事故に遭い、台湾シリーズ期間も含め、何度も手術を行うほどの重傷を負っていたという事実を、目をうるませ、言葉につまりながら告白した。

 幸い手術は成功。ただ、プレーオフ及び台湾シリーズの期間中、病院との往復を余儀なくされる中で、林監督はチームの士気への影響を恐れ、この件を自ら選手に伝えなかったという。もっとも一部の選手はこの件を知っていたようで、胴上げ投手になった呂彦青は「監督のプレッシャーは自分たちよりはるかに大きかったと思う。シリーズ制覇が監督への一番の贈り物になれば」と語った。

 シリーズ4試合は5-3、4-1、7-2、3-2という結果だった。中信は14勝で最多勝&奪三振王の左腕、ホセ・デポーラが第1戦に先発。外国人最後の1枠で選ばれた右腕のタイラー・ビザが第2戦に先発した。そして、今季は規定投球回数未満ながら8勝、防御率2.32をマークした鄭凱文が第3戦、そして、今季シーズン11連勝(1敗)とブレークし、後期優勝の立役者となった呉哲源が第4戦で先発した。この4人がいずれも7回以上自責点2未満と好投。呂彦青が3セーブをマークするなどチーム防御率も2.00と安定していた。エラーも楽天の8に対し、わずか1。リーグを代表する遊撃手、江坤宇を中心に好守で投手陣を支えた。

 打っても、本塁打数は楽天の4本に対し、中信は陳子豪の1本にとどまったが、得点圏打率は3割と効率よく得点。本塁打は全てソロと打線のつながりを欠き、得点圏打率1割に終わった楽天とは対照的だった。

 シリーズMVPには、中信兄弟の岳政華が選ばれた。21歳284日での受賞は史上最年少。2019年U-18ワールドカップの優勝メンバーで、2019年ドラフト1位の岳政華は、“岳三兄弟”の三男。三兄弟はいずれも台湾プロ野球の選手で、長男・東華は中信の内野手を務め、このシリーズでも兄弟による連続安打がみられた。台湾ではロッテの藤原恭大外野手に似ていると話題になることもあるが、藤原に負けない高い運動能力をもつ選手だ。

 林監督から「いい打者に育ててほしい」と依頼を受けた平野コーチの指導を受けた結果、1軍でも好成績を残すようになり、後期からはスタメンに定着。9月上旬以降は1番センターで起用され活躍した。プレーオフ、台湾シリーズでも優れたパフォーマンスでチームを牽引。台湾シリーズでは全4試合で「1番・中堅」を務めて全4試合で安打を記録。通算16打数7安打、打率.437の好成績を残した。

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