長く現役続けるなら天才肌より“努力型”? モーグル上村愛子の持論に五十嵐亮太が共感
初めて出たモーグルの大会でいきなり優勝「これは続けた方がいい」
五十嵐:僕が聞きたかったのは、なぜモーグルをやろうと思ったか。不思議なんです。
上村:ですよね(笑)。私も小学校の6年間はアルペンをしていました。地元で5番手くらいでなかなか表彰台に立てない。悔しいし先が見えなくて、中学生で一時競技から離れたんです。その時にモーグルのW杯を会場で見てしまったんです。
会場に音楽が流れたり、とても賑やかなスポーツで驚きました。しかも、スタートからゴールまで選手がどう滑ってジャンプしてきたのか、観覧席から全部見られる。それが楽しくて、足を踏み入れたら、初めて出た大会で優勝したんです。
五十嵐:それは格好いい!
上村:アルペンのおかげでスピードは出せるし、ジャンプも度胸良く跳んだらすごくいい点数をくださった。遠かった表彰台に一発で上がれて、これは続けた方がいいと転向しました(笑)。失敗して転んでも立ち上がると周りの選手たちが拍手してくれるコミュニティの温かさや、みんな本当に競技を好きな様子が素敵でした。よく面倒を見てくださったこともあり、居心地が良かったんです。
五十嵐:そこから五輪初出場まで、割とすぐですよね。
上村:長野はモーグルを始めて4年後です。日本代表には2年ほどで入れましたが、競技人口が少なくて競争率が低かったんです。
五十嵐:とはいえ、いきなり優勝だからポテンシャルは高かったはずですよ。
上村:長野で育ったことも幸運でした。モーグルに転向した時は五輪開催決定後で、長野県スキー連盟が人材発掘・育成に力を入れていたおかげで、初心者なのにトップ選手と一緒に練習できたり、環境に恵まれていました。