日本虜にした「愛子スマイル」 モーグル上村が語った“最後の自己満足”に五十嵐共感

5度の冬季五輪出場を果たした上村愛子さん【写真:荒川祐史】
5度の冬季五輪出場を果たした上村愛子さん【写真:荒川祐史】

五十嵐亮太×モーグル上村愛子【第2回】「五輪と世界」―同世代対談「極める」第3弾

 日米23年のプロ野球生活を送った五十嵐亮太さんが、各界のトップで活躍する“同世代”と対談するシリーズ「極める」。同世代だからこそ共有できる想いを語ったり、異業種だからこそ新鮮に感じる発見に驚いたり、多岐にわたるトピックスについて語り合う。

 第3弾のゲストは、フリースタイルスキー・モーグル元日本代表の上村愛子さんだ。1998年長野五輪に18歳で初出場して以来、2014年ソチ五輪まで5大会連続入賞。さらには、日本人初のワールドカップ(W杯)年間総合優勝の偉業を遂げるなど、2014年に現役を引退するまで長く活躍した。今なお健在の愛子スマイルを浮かべながら、五十嵐さんと競技や新たな挑戦について語る。全3回シリーズの第2回は「五輪と世界」について。

◇◇◇◇◇

五十嵐:上村さんは五輪に5回出場しましたが、特別な舞台でしたか?

上村:そうですね。モーグルはコミュニティが小さいので、皆さんに幅広く見てもらえる舞台が五輪なんです。普段スポーツに興味がない方やスキーを全然見ない方でも「あ、五輪だ」と注目してくれる。私はたくさんメディアに取り上げてもらい、多くの方に応援でパワーをいただいた、とてもラッキーな選手でした。だからこそ、五輪の舞台で一生懸命に積み重ねた技術を見ていただきたい、メダルを獲ることで恩返ししたいという思いが強くありました。

五十嵐:プレッシャーもかなり大きそう。4年に一度、そのために調整するわけですもんね。

上村:はい。でも、初出場でポンッとメダルを獲る人がいたり、コツコツやっても獲れない人がいたり。私もメダルは一度も獲っていないんです。長野から順に7、6、5、4、4(位)。最後も「4位か~!」みたいな(笑)。

五十嵐;うわ、最後に4か~! でも、世界で4位はすごいことですよ!

上村:長野で里谷多英さんが金メダルを獲って、私は7位。次のソルトレイクシティで彼女は銅メダル、私は6位。長野で多英さんの金メダルを見た時に「4年間、死に物狂いでやればメダルを獲れるかも」と思ったんです。でも4年後、自分は獲れなかった。「願えば叶う」と信じていますが、その結果が出た時に「願い通りのストーリーを歩めるわけじゃないんだな」と気付いて、モーグルを諦めるか、続けるか、考えました。でも、辞めたら、人に応援してもらいながら大好きなスキーをする理由がなくなってしまうので、モーグルしかないと続けることにしました。

五十嵐:上村さんを見てモーグルに興味を持った人は多かったと思いますよ。いい笑顔してるし、楽しそうに滑るから注目されていたもんね。

野球とモーグルに見る共通項、日本人は器用だが…

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