元早実の「腕立て王子」、打率.297でも自由契約に… レギュラー目前で兵役の壁

斗山ベアーズ時代の安田権守【写真:球団提供】
斗山ベアーズ時代の安田権守【写真:球団提供】

安田権守は今季韓国プロで打率.297、突然の自由契約の理由は…

 日本のプロ野球と同じく、韓国プロ野球でも12月1日に来季へ向けた「保留選手名簿」が公示された。各球団が来季に向けて契約の意思のある選手を記載するもので、ここに含まれなかった選手は自由契約となる。その中に、斗山ベアーズで3年間プレーした安田権守外野手の名前もあった。早実高(東京)時代には「腕立て王子」として話題となった選手がチームを離れた理由は「兵役」という重いものだった。「OSEN」など韓国の各メディアが報じている。

 安田は早実2年時に夏の甲子園に出場している。打席で腕立て伏せを行うところから「腕立て王子」の異名をとった。早大に進んだものの野球部は早々に退部し、在学中から独立リーグの群馬、武蔵でプレー。社会人野球のカナフレックスを経て、2019年夏の2次ドラフトで斗山に10巡目、全体99番目で指名されプロ入りした。最後から2番目と言う遅い指名だった。

 斗山入りしてからの2年間は代走、守備要員という扱いだったものの、3年目となる今季は一時右翼のレギュラーに定着。1軍76試合に出場して打率.297、OPS.712という過去最高の成績を残した。そのため突然の自由契約を「OSEN」は「衝撃の放出ニュース」と題して伝えている。新たに就任したイ・スンヨプ監督(元オリックス)も「右翼手争いの先頭走者だった」というのに。

 ではなぜ放出されてしまったのか。記事は「最大の問題は兵役だ」と伝えている。「アン・グォンス」こと安田は在日韓国人3世で、再来年以降も韓国プロ野球でプレーした場合、韓国内への滞在日数の関係から兵役の義務が課されるのだという。記事は斗山の関係者の話として「元々は昨年が最後だと考えていたが、兵務庁に確認の結果、オフに日本に戻っていた日数が差し引きされ、最大で来季まではプレーできるという回答を受けた」としている。

 今季、10チーム中9位に終わった斗山にとっては難しい選択だった。関係者は「チーム内に外野の有望株が多く、未来を見た時には1年だけプレーして帰らなければならない選手より、若い選手に機会を与えたほうがよいと判断した」。安田とは面談を行い、納得していたという。

 自由契約となった安田の選択肢は現実的には2つだという。ひとつは来季限りの条件付きでプレーできる韓国プロ野球からのオファーを待つこと、もうひとつは日本に戻ること。来季プレーした後兵役義務を履行し、韓国プロ野球に復帰することも可能だが、安田は来季30歳となる。選手生命を考えると「現実的ではない」としている。

(Full-Count編集部)

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