「酒の臭いプンプンでグラウンドに…」 同期のオリ戦士が回顧、若き日の名将秘話
感じた成長、変化「思い切った発想、面白い采配をするなって思いました」
26年前にオリックスは巨人を破って日本一になったが、捕手・中嶋がその日本シリーズにスタメンで出たのは第2戦だけ(3打数無安打)。それ以外の出場も第1戦での代打(二飛)のみに終わった。「あの時、仰木監督は(捕手では)高田(誠)を一番買っていたかな」と藤井氏が明かすように、当時は恵まれた立場ではなかった。1997年オフにFAで西武に移籍し、さらに横浜、日本ハムと渡り歩くことになったが、それが大きなプラスになっているようだ。
実際、2019年に2軍監督としてオリックスに戻ってきた時、当時2軍打撃コーチだった藤井氏は成長、変化を感じたという。「思い切った発想、面白い采配をするなって思いました。例えば、一、三塁で一塁ランナーに大きくリードをとらせて、わざとこけさせるサインを出し、キャッチャーが一塁へ牽制する間に三塁ランナーを突っ込ませるとかね。キャンプなどでは練習するけど、シーズン中はなかなかできないですよ」。
送りバントが定石のケースでバスターなども駆使する“ナカジマジック”はよく“仰木マジック”と比較される。だが、「中嶋も(仰木オリックス)当時の経験が生きているとは思いますが、ちょっと違いますよね」と藤井氏は言う。「仰木さんの時は、僕も前の試合でホームランを2本打っていたのに、次の日、相性が悪いピッチャーだから外されるなんてことがありましたからね」。そう言いながら、次に明かしたのは仰木監督との思い出、初めて褒められた話だった。
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)