母に渡した8000万円「何も言わなくていい」 ドラ1入団も…いきなり批判された現実

近鉄時代の坂口智隆【写真:共同通信社】
近鉄時代の坂口智隆【写真:共同通信社】

ドラフト1位で近鉄に入団、8000万円の契約金は母・一枝さんにプレゼント

 NPBで通算20年間プレーし、1526安打を放ち今季限りで現役を引退した坂口智隆氏。幼い頃からプロ入りを掲げ、神戸国際大付高では甲子園にも出場し、ドラフトでは本人も驚きの1位指名を受け近鉄に入団した。バファローズ魂を背負い“最後の近鉄戦士”と呼ばれた男の野球人生を振り返っていく連載。第6回は「打撃の基礎を作ってくれた恩師との出会い」。

 高校最後の夏は同校史上初となる県大会決勝に進むも、報徳学園に敗れた。それでも、2002年のドラフトでは高井雄平(元ヤクルト)の交渉権を抽選で逃した近鉄から1位指名を受けて入団。まさかの“ドラ1”に「何で1位なのか。驚いたけど『よっしゃ、プロ野球選手になったぞ』。これで親孝行できる」と、喜びを爆発させた。

 当時の契約金は8000万円。女手一つで育ててくれた母・一枝さんからは「本当に良かったね。野球を頑張ってきた智隆の夢が叶った」と、労いを受けた。「オカンは野球だけは続けさせてくれた。一番、喜んでくれた。必要なことに使って。俺には何も言わなくていい」と、全額を手渡しプロへの世界に飛び込んだ。

 入団後は俊足強肩の身体能力を買われてすぐさま外野手に転向。「プロ野球選手は凄いのが当たり前と思っていたが、想像以上だった。同期入団の選手とも実力の差を感じた。ホンマに俺が1位なんかと……」。2001年にリーグ制覇を果たしタフィ・ローズ、中村紀洋、礒部公一、大村直之らの“いてまえ打線”の迫力は高卒ルーキーに衝撃を与えた。

鈴木貴久2軍打撃コーチとの出会い、批判を受けた打撃フォームも「それで大丈夫」

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY