“最弱の4番”に転落…好機潰したゲッツー地獄 相次ぐ補強で煽り、中日主砲の正念場
ビシエドは来日3年目に首位打者&最多安打も…ついて回ったHRの少なさ
来季に来日8年目を迎える中日のダヤン・ビシエド内野手が、正念場に立たされている。大砲のイメージはすっかりなく、今季の本塁打数はセ・リーグの主要な4番打者の中では最少だった。最下位からの脱出を目指すチームは今オフ、新助っ人の獲得に成功。状況次第では“スタメン剥奪”も現実味を帯びる。
メジャー5年間で66本塁打の実績をひっさげ、2016年に来日。日本球界1年目は打率.274、22本塁打68打点だった。セイバーメトリクスの指標からデータ分析を行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)によると、打撃や守備、走塁など総合的な選手の貢献度を示す「WAR(wins above replacement)」は「2.1」と平均並み。いきなり大きなインパクトとはいかなかった。覚醒したのは、来日3年目の2018年で、打率.348で首位打者と最多安打を獲得。NPBでのキャリア最多となる26本塁打を放ち、WARもリーグの野手で6位の「5.0」を記録した。
翌2019年も打率.315をマークしたが、一発の少なさへの指摘は常について回った。7年間で20発以上放ったのは、わずか2度。広い本拠地という“逆風”もあるが、4番に座る主砲としては物足りなさが拭えなかった。そして今季は自己ワーストの14本塁打どまり。打率こそ.294だったが、20併殺打はリーグワーストだった。平均的な打者と比べた場合にどれだけ得点を増減させたかを示す打撃指標「wRAA(weighted Runs Above Average)」は「18.8」。リーグの4番打者ではワーストだった。
今オフのチームの動きをみると、不動だった「4番・一塁」は危うくなっている。2020年まで3年間中日に在籍したソイロ・アルモンテ外野手の“出戻り”が決定。来日1年目には15本マークした実績を持つ。さらにメジャー通算41本塁打のアリスティデス・アキーノ外野手と契約。助っ人3人の併用は考えづらく、キャンプやオープン戦の結果次第では弾き出される可能性は十分にある。
スペイン語で戦車を意味する「エルタンケ」の異名で、チームメートからは「タンケ、タンケ」と呼ばれて愛されてきた33歳。ナイスガイな心優しき性格はファンの間でも有名で、ビシエド自身も日本への愛着も強い。来季にV字して名実ともに主砲に返り咲けるか。最下位奪取を目指すチームの浮沈も、そのバットにかかっている。
(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)
データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。