イチロー氏「僕はしないんだけど絶対」 盗塁成功への思考と“NG”な足の動き

富士高を指導したイチロー氏【写真:代表撮影】
富士高を指導したイチロー氏【写真:代表撮影】

NPB通算.858の盗塁成功率を誇るイチロー氏が語る確実性の高め方

 日米通算708盗塁を誇るイチロー氏(会長付特別補佐兼インストラクター)が、盗塁の極意を説いた。12月上旬に静岡県立富士高を訪ねて指導した際、帰塁とリードの仕方を伝授。成功率を高めるため、常に隙を作らないことが大切だとも。「リスクしかない」と指摘したのは、クロスしてリードを取ることだった。

 通算盗塁数もさることながら、イチロー氏の凄みが凝縮されているのは、その成功率。NPB通算199盗塁で盗塁死はわずか33。通算盗塁成功率.858は、200盗塁以上を企画した中では、NPB歴代1位の数字だ。メジャーリーグでも509盗塁で盗塁死が117、成功率.813と高い数字を誇る。

 まず説いたのはリードの仕方。コツは「リードを大きく取らないこと」。常に牽制されても戻れる距離で構えることで、「100%(不安のない気持ち)で走れる。(リードが)大きいからいいわけでない」と伝える。盗塁をするときは、牽制されて戻るという気持ちはなくしておきたいというのがイチロー氏の考えだ。

 足をクロスしながらリードを取る生徒に対しては「この体勢、怖くない? その瞬間はないほうがいい。僕はしないんだけど絶対」と指摘。クロスしている瞬間に牽制されると帰塁が遅れる。「リスクしかないので。うまい投手はすぐに見抜きますからね」と“絶対NG”を強調した。

 打率だけでなく、盗塁も高い確率で成功させてきた言葉は重い。その確実性の裏には、たった1歩にも神経を注ぐ細やかな技術が詰まっていた。

(First-Pitch編集部)

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