突然の通告に「断ることしか…」 面談相手が社長に変更…予感あった電撃トレード

阪神・オリックスで活躍した野田浩司氏【写真:共同通信社】
阪神・オリックスで活躍した野田浩司氏【写真:共同通信社】

野田浩司氏が振り返る松永浩美氏との交換トレード

 プロ野球の“オフの風物詩”ストーブリーグではこれまでに数々のドラマが生まれた。このオフは楽天・涌井秀章投手と中日・阿部寿樹内野手の交換トレードなどが成立。それぞれの今後の野球人生も注目される。令和の怪物と称されるロッテ・佐々木朗希投手に並ばれたものの1試合19奪三振の日本記録保持者である野球評論家の野田浩司氏は阪神時代の1992年オフ、まさかの移籍を経験した。オリックスの主力打者・松永浩美内野手との1対1トレード。あの時、どんな思いでいたのか。舞台裏を明かした。

 その年の12月下旬のことだった。「夜ではない。午後。昼ですね。夕方にはかからないくらいの」。芦屋市内のホテルの一室を野田氏はノックした。部屋に入ると、中には阪神・三好一彦球団社長がいた。「最初はごくろうさんとか、シーズンの話からだったと思います」。1992年、阪神は優勝争いを展開、惜しくも2位に終わったものの、亀山努と新庄剛志の「亀新フィーバー」も巻き起こり、大いに盛り上がった。話はその辺の振り返りから始まったようだ。そして……。

「君はピッチャーで頑張ってくれたけど、やっぱり最後、打てなかったよねぇみたいな流れから、ドラフト1位で入って、ここまで弱いながらも投手陣を支えてくれて本当にしのびないんだけど、と……」。その後に松永とのトレードが通告されたという。その年の阪神投手陣は12球団トップのチーム防御率2.90を記録したが、攻撃陣はチーム打率.250でリーグ5位。そんな投高打低のチーム状況を踏まえてのことだった。

「現場レベルではまとまっている。後は君の返事次第という話でした。とにかく、来年、優勝を目指すなかで打たなければ駄目だっていうことですよね。ピッチャーは僕が出ても若いピッチャーもいるし……。あの年の投手陣は良かったですからね」と野田氏は振り返った。「腹が立ったよりも、ショックという感じでした。タイガースを出なきゃいけないのかってね」。その場で返事はせず、ホテルでの三好社長との話は「30分くらい」で終わった。

5年目24歳で8勝1セーブ…前年には開幕投手も務めていた

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