小学生の松田宣浩Jr.も熱男だった “遅すぎる球”で翻弄…元プロ監督絶賛の投球術
プロ90勝の帆足和幸監督「松田は賢い。しっかり考えている」
それだけではない。「今日はクイックで投げたり、普通に足を上げて投げたり、けん制球を入れたりと、今まで学んできたことを生かせたと思います」と一冴くん。あの手この手で相手打者を翻弄した。現役投手時代に西武、ソフトバンクで通算90勝を挙げた帆足監督が「松田は賢い。しっかり考えています。そうでなければ、ピッチャーをやらせていません」と評する投球術だ。
それでいて、一冴くんは「僕は無理に90キロ以下の球を投げているわけではなく、全力で投げてもこれくらいしか出ないのです」とあっけらかんと明かす。投手を務めるのは、9月に活動を開始したホークスジュニアだけで、所属するポルテベースボールクラブ福岡では「セカンド以外、守ったことがありません」と言うのだから驚く。
投球中以外は、ベンチで誰よりも大きな声を張り上げチームを鼓舞するムードメーカー。いや、投球中も時おり気合とともに「オリャー!」と大声を発する。父・松田の野球選手としてのスタイルをずっと見てきたからだ。ホークスジュニアでチームメートの誰かがホームランを放ち生還した時には、全員で声をそろえ「熱男~!」と父のキャッチフレーズを叫ぶことにしている。
チームは今大会1勝1敗。1イニング当たりの平均得点、平均失点による「TQB方式」で準決勝には進めず、敗退となったが、一冴くんは「今日の投球の自己採点は120点」と満足気に笑った。球が遅いなら遅いで、チームに貢献する方法を編み出し実践できるのも、父のプロ根性を肌で感じてきたからこそかもしれない。一冴くんもまた“熱男”である。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)