村上宗隆はMLBで活躍できる? 松井秀喜氏も苦戦…分析のプロが指摘するポイントは
村上を抑えるために必要な“内角”と“高め”
さらに「WBCの結果を受けて、NPB投手の村上に対する攻め方が変わるのかどうかも興味深いですね」と付け加えた。仮に三井氏が敵チームのスコアラーで、レギュラーシーズンを通じて村上と対戦するとしたら、どんな対策を立てるのだろうか。「基本的には内角に弱点がある打者です」。ただし、「村上には内角球をきれいに芯でとらえようという考えが、さらさらないように見えます。内角球は詰まって内野の頭を超えるヒットになってくれればいい、という感じ。バッターというものは、内角球をうまく打とうと思った時点で打撃を崩しがちなのですが、村上には一貫してそれがない。そうしておいてコースが甘くなればホームランにもなる」と分析する。
高めの使い方も、対村上のポイントになると言う。三井氏は「高橋由伸(前巨人監督)の現役時代のことです。彼はハイボールヒッターで、すっぽ抜けのボール気味の高めの球をよくホームランにしていました。そこで当時ヤクルト監督の野村克也さん(故人)は、投手陣に高めの力のある球を多投させた。同じ高めでも、すっぽ抜けと狙って投げた球は全く違いますから、ファウルになることが増え、やがて高めの球に対する強さが発揮されなくなりました」と振り返る。このケースは村上対策のヒントになるというわけだ。
「長打を防ごうと外角一辺倒になると、少し甘くなった時に長打にされてしまう。ある程度散らしていかなければならないので、となると、インコースと高めが鍵になると思います」とまとめた。
一方、村上自身の立場に立つと、2023年のシーズンはどんな世界が見えてくるだろうか。「開幕からプレッシャーがかかることは避けられないでしょう。3冠王を取った以上、今年もタイトルを是が非でも最低何か1つは取らなければならないと思うでしょうから、焦りとの勝負になる。いかに自分の気持ちをコントロールして、去年の開幕のような自然体で臨めるか」と三井氏は注目する。容易なことではないが、数年後にメジャーで成功するためにも、“村神様”のさらに進化した姿を見たい。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)