HR王は大ブレーキ、“リーグワースト”の遊撃手 オリ3連覇に向け改善必至の課題

吉田正の穴を埋める若きスラッガーたちに注目

 最も大きな飛躍を挙げたのは間違いなく中川圭太内野手だろう。東洋大から入団し、プロ1年目の2019年に105安打をマークし大きな期待を寄せられていたが、続く2シーズンは思うような結果が残せずにいた。しかし、昨季は開幕から3割近い高打率を維持し、シュアな打撃で自己最多の8本塁打、51打点、11盗塁を記録するなど走攻守で結果を残した。ドラフト7位の苦労人が、紆余曲折を経てその才能を見事に開花させ、長打に苦しむ打線の救世主となった。

 チームの要ともいえる捕手の選手層が充実していたことも強みの一つだった。チーム屈指の強肩を誇り、山本由伸投手の女房役を担っている若月健矢捕手は、規定打席には未到達ながら自己最高の打率.281を記録。課題とされていた打撃面で大きな成長を見せた。伏見寅威捕手も巧みなリードと力強い打撃で貢献し、頓宮裕真捕手も指名打者、一塁手での起用が増えながらも自己最多の11本塁打を記録するなど、正捕手を争う3選手がきっちりと結果を残したシーズンだった。

 昨季は、オリックスの将来を明るく照らす若手たちも躍動を見せた。大型ショートの紅林弘太郎内野手は、130試合に出場し頑丈さを見せた。一方で、OPSはリーグワーストの.593を記録するなど、まだまだ多くの課題を残しており、どのようなレベルアップを見せるか楽しみだ。

 また、並外れた打撃センスが持ち味の太田椋内野手は、日本シリーズ第6戦で先頭打者初球本塁打を記録するなど、大器の片りんを見せつけた。FAで森友哉捕手を獲得したものの、吉田正が去った穴は塞ぎきれない。昨季は若手投手陣の台頭が目立った。今季は魅力あふれる若きスラッガー候補の飛躍に注目だ。

(「パ・リーグ インサイト」村井幸太郎)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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