HR激増に“疑惑”の目も…「俺は何もしていない」 本人も驚いたトリプルスリー
野村謙二郎氏は95年にトリプルスリー…キャリア唯一のHR30本台だった
1シーズンで打率3割、30本塁打、30盗塁以上の成績を残すことをトリプルスリーという。日本プロ野球界ではこれまで10人(ヤクルト・山田哲人は3度)しか達成していない偉業だ。元広島監督の野村謙二郎氏は現役時代の1995年に打率.315、32本塁打、30盗塁をマークした。当時、史上6人目で左打者では初めてのことだったが、振り返れば“謎”でもあるとか。「どうしてできたのか、自分でもよくわからない」と明かすのだ。
1995年は野村氏にとってプロ7年目のシーズンだった。それまでの6シーズンで打率3割超えは2度、30盗塁以上が3度あり盗塁王に3度輝いていた。だが、本塁打数は最高が1990年の16本だった。それが1995年は32本。野村氏は「おかしいよね。MAX16本だった人間が倍打っているんだからね」と苦笑する。ちなみに、1996年以降も30本塁打どころか、20本塁打にも到達していない。まさに1シーズンだけの“謎”というわけだ。
「自分のなかで打撃フォームが変わったのは、グリップの高さを上げて、テークバックをとらないようにして、ステップというか、タイミングを取ってバットの位置を動かさないで、そのまま打ったら無駄がなく、ボールがはじける、とらえられるようになったという感じで、ボールを上げようとか、ホームランを打とうとかの意識はなかった」。いまだに自身も首をひねる。「自分でもなんであんなにホームランが出たんだろうって思うくらいだからねぇ……」。
ある時、野村氏の折れたバットをヤクルト・古田敦也捕手が持って行ったことがあった。バットに何か“仕掛け”がないか、調べるためだったといわれているが、それくらい不思議な現象として周囲もとらえていたということか。