体罰と衝撃の監督交代…東海大菅生ナインはどう受け止めた? 全員で決行した“儀式”

提案に対して、みんなが『やるよ』といったという【写真:宮脇広久】
提案に対して、みんなが『やるよ』といったという【写真:宮脇広久】

チームを1つに「みんなが『やるよ』と言ってくれたので…」

 選手たちも、自分たちでチームを立て直そうと必死である。選抜出場校発表前夜、野球部員71人のうち、女子マネジャー3人を除く全員が、頭を青々と剃り上げた。渡部主将は「これまでも公式戦期間中には、気合を入れるつもりで剃っていましたが、出場校決定も1つの節目と考え、(エースの)日當(直喜投手=2年)の提案で、みんなで剃りました。チームが1つになれたと感じていますので、良かったと思います」と説明。「先輩方の代は5厘刈り(約1.5ミリ)でしたが、これはもっと短い“ソリン刈り”(「剃る」と「厘」を掛け合わせた造語)です!」と笑った。

 これほどの短さは、電動バリカンでは出せない。寮生たちは前夜、かわるがわる浴室の洗い場で、T字カミソリを使って剃った。「後頭部などをうまく剃れない選手は、お互いに剃り合っていました」と渡部主将。寮生以外の選手たちも、各々自宅で剃ってきた。

 渡部主将は「強制はしていません。いろいろな考え方があると思うので、嫌がる選手に無理矢理やらせるつもりは全くありませんでした」とした上で、「提案に対して、みんなが『やるよ』と言ってくれましたし、自宅通学の選手もみんな剃ってきた。いいチームかな、と思っています」と感慨深げに語った。

 渡部主将は監督交代を「逆に、この壁を乗り越えられたら、みんなが1つになれるチャンスだと思っています。こういう時こそチーム力が問われる。チーム力を武器にやっていきたいです」と、努めて前向きに受け止めようとしている。若者たちは、大人の不祥事を成長につなげる“強さ”を示せるだろうか。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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