NPB球団が「整形外科」を開設する理由 メジャー帰りの指揮官も期待「大きな強み」

肘痛の高校生救った「ハイドロリリース」など最先端医療も

 タッグを組む帝京大は、2011年にスポーツ医科学センターを設立し、全国大学選手権優勝11回を誇るラグビー部、駅伝競争部などをサポートしてきた経験値がある。さらに2018年に医科学クリニックを設立し、外部のアスリートにも医療提供を行ってきたのは、ライオンズ整形外科クリニックにとって心強い手本になる。

 帝京大スポーツ医科学センターでは、最先端の高気圧酸素治療、超音波診療を導入。河野博隆センター長は「超音波診療では、レントゲンではわからない人体、筋肉の損傷を鮮明に映し出すことができます」と説明する。

 例えば、同センターでは、肘痛と手の指の脱力感を訴えた高校生投手を、ハイドロリリースという方法で症状の改善に導いた実績がある。ハイドロリリースは、超音波画像装置で筋肉や神経の位置を確認しながら、生理食塩水を注射するもの。河野センター長は「従来は麻酔を打つか、ステロイドを打つくらいしか治療法がありませんでしたが、麻酔は筋力を低下させますし、ステロイドはアンチ・ドーピング規定で禁止されている。いずれにも頼らない方法なのです」と語る。

 西武の松井稼頭央監督は「僕がかつてプレーした米大リーグでは、ほぼ全ての球場にレントゲンを撮る設備がありましたが、日本はそこまでいっていない。(ライオンズ整形外科クリニックが開業すれば)死球や接触プレーがあっても、すぐそこで診てもらえると思うと安心です。大きな強みになると思います」とうなずいた。常勝球団復活を力強く後押ししそうだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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