鳥谷の神走塁を「今も夢に見る」 侍ジャパン“最大の賭け”食らった台湾選手の後悔
2013年WBC、台湾戦9回2死からの同点劇…やられた側にもドラマが
過去に4度行われたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、日本代表が陥った“最大の危機”といえば、2013年の第3回大会、トーナメント形式で行われた第2ラウンドだろう。台湾との初戦で9回2死、2ストライクまで2-3と負けていた。延長10回に勝ち越し、4-3でかろうじて先へ進むのだが、ここで大きな役割を果たしたのが、9回2死から鳥谷敬内野手(当時阪神)が決めた二盗だった。食らった側の台湾選手は、いまだに夢に見るのだという。
台湾メディア「自由時報」が伝えている。悔しさが消えないと語るのは、この場面で遊撃に入っていた林智勝内野手(味全)だ。「私は今でもそのシーンを覚えていますし、夢に見ます」と話している。自身のミスでセーフにしてしまったのではという思いがあるのだという。
日本は2-3で9回を迎え、1死から鳥谷が四球で出塁した。2死後、けん制を1球受けてからの初球に二塁へスタートを切りセーフとなった。打席の井端はカウント2-2まで追い込まれてから、中前へ同点適時打。日本はあと1球で試合終了という場面から、同点に追いついた。
アウトになれば試合終了という場面で、スタートを切った鳥谷の勇気と技術は大きく称えられた。一方で、捕手からの送球を受けながら二塁ベースに入った林智勝には、もっと早くに動いていればアウトにできたのではとの思いがあるという。鳥谷が走り出した時にはまだ二塁へ動いておらず、捕手の送球を見てからベースに向かったのだという。
林智勝は、台湾プロ野球で史上唯一300本塁打している強打者。代表チームの常連でもあった。その大打者が「もっと試合に集中しなければいけないと学んだ」という場面。極限の集中力が求められる名場面が、WBCにはまたきっとある。
(Full-Count編集部)