澤村拓一に求められる「救世主」の役目 明らか変化…古巣で躍動するための“条件”

ブルペンのやり繰りに苦しんだチームにとって“救世主”に

 ロッテは2021年に強力なブルペンを原動力に優勝争いを繰り広げたが、2022年は勝ちパターンを担った国吉佑樹投手と佐々木千隼投手をはじめ、唐川侑己投手や東妻勇輔投手といったリリーフ陣の主軸が不振に陥った。また、抑えの益田直也投手も4年ぶりに防御率3点台となり、シーズン途中に勝ちパターンを外れるなど苦しいシーズンを送った。

 59試合で30ホールドと大車輪の活躍を見せた東條大樹投手をはじめ、故障から復活した西野勇士投手と岩下大輝投手、安定感を飛躍的に増した小野郁投手らの活躍はあったが、チームは最後まで勝ちパターンを固定できなかった。前回在籍時に「8回の男」として抜群の存在感を示した澤村の復帰は、ブルペンを立て直すうえでも大きな意義を持ちうる。

 また、クローザーとして抜群の安定感を見せたロベルト・オスナ投手の退団に伴い、抑えの座は空席となっている。近年はセットアッパーとして活躍を見せている澤村は、巨人時代には抑えとして最多セーブに輝いた実績を持つ。それだけに、チーム内競争の結果次第では、守護神として9回のマウンドに立つ可能性も大いにあることだろう。

 澤村の背番号は「54」。気迫あふれるピッチングで「魂のエース」と呼ばれ、今季から投手コーチとして古巣復帰を果たした黒木知宏氏が現役時代に使用していた、まさに代名詞ともいえる背番号だ。澤村も三振を奪った際に雄叫びを上げながらガッツポーズを見せるなど、気迫を前面に押し出した投球でファンの心をつかんでいた。受け継いだ背番号に相応しい豪快な投球を披露し、チームを再び上位争いに導けるか。

 世界最高峰の舞台で存在感を見せ、満を持して幕張に帰ってきた剛腕。3年前と同じく「救世主」となれるだけの条件は整っている。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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