投手・根尾の起用法は「考えられなかった」 “元エース”が危惧した昨季「ただの見せ物」

中日で長きにわたり活躍した小松辰雄氏【写真:山口真司】
中日で長きにわたり活躍した小松辰雄氏【写真:山口真司】

立浪監督に注文「ある程度、コーチに任せればいいと思う」

 かわいい後輩でもある立浪和義監督については「いろんなことに口出すらしいからね。一生懸命なのはわかるけど、ある程度、コーチに任せればいいと思うけどね」と心配そうに話す。その上で、投手に転向した根尾昂の昨季の使い方に関して「ずっと1軍にいたでしょ。あれは考えられなかった。負けゲームで投げさせて、あれはないわ。ただの見せもんやもん」とあえて苦言も呈した。

 名古屋市中区錦3丁目にある「焼処 旨い物 海鮮山」は小松氏がオーナーの店だ。サバのいしる漬け、能登塩辛の麹漬け、いかのわた入り……。故郷の石川県能登の食材などを使った料理はどれも絶品の人気店。2010年にオープンし、小松氏も時間が許す限り、お店に姿を見せている。「店は今年で13年目だね。多くの方々に能登のうまい魚を食べてほしいなっていうのは現役の時から思っていた。こんなに続けられるとは思わなかったけどね。最初は3か月赤字が続いたらやめようってなっていたんだからね」。

 中学生硬式野球チーム「三好東郷ボーイズ」のコーチも務めており「2年生に将来、楽しみな選手がいるんだよ」と声を弾ませる。昨年は星稜高校時代の恩師・山下智茂氏が指導アドバイザーを務める縁で石川県輪島市の県立門前高校を指導した。今後も「機会があれば」というが、かつての中日エースの思いはやはり……。

「ユニホームを着れたらいいんだけどね、死ぬまでにね。そりゃあ、やっぱり着たい。野球人はユニホームが一番だからね」と正直に胸の内を吐露した。前回、中日投手コーチを経験したのは1995年から1997年までの3年間。やり切った感はまったくない。60代にはなったが、余力は十分。伝説の「スピードガンの申し子」は、まだまだ野球人生の剛速球を投げ切っていない。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

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