オリに開いた吉田正尚の“穴”を埋める意外な候補 専門家が期待「坂本勇人のように」

「この2人が実力を発揮すれば、この先10年は二遊間に困らない

 第3のポイントは、“ラオウ”こと杉本裕太郎外野手の復活がなるかどうか。2021年に4番に定着し32本塁打83打点、打率.301で本塁打王のタイトルも獲得。遅咲きの大ブレークを果たしたが、昨年は一転、15本塁打、51打点、打率も.235と数字を大きく落とした。青学大時代の2年後輩の吉田正とは、名コンビだった。野口氏は「1つ前の3番に、相手にとって最大の脅威である吉田正がいたからこそ、杉本が生かされていた部分がある。今度は杉本に、誰かを生かす存在になってほしいですね」とワンランクアップを期待する。

 第4のポイントとして、高卒4年目の紅林弘太郎内野手と同5年目の太田椋内野手のコンビにも、大きな伸びしろがある。2年連続でショートのレギュラーに君臨した紅林は、打撃も勝負強いが、昨年トータルでは打率.224、6本塁打32打点にとどまった。2018年ドラフト1位の太田は、昨年の1軍出場がわずか32試合で、期待された二塁レギュラーには程遠かった。

 野口氏は「大型遊撃手(186センチ、94キロ)の紅林には、巨人の坂本勇人のような選手になるつもりで頑張ってほしい。太田はパンチ力があるけれど、現状では好不調の波が激しく、確実性を上げるのが課題でしょう」と見ている。「この2人が実力を発揮するようになれば、オリックスはこの先10年以上、二遊間に困らない」と言うほどで、期待の大きさは今年にとどまらない。

 紅林&太田コンビより若い世代にも、台頭が期待される選手たちがいる。高卒3年の来田涼斗外野手、同期の元謙太(げん・けんだい)外野手、1歳下の池田陵真外野手といった面々だ。野口氏は「その3人は春季キャンプのフリー打撃を見る限り、バットがよく振れている。オリックスはチームの順位が低迷していた2018年からの3年間、ドラフトではあえて先を見据え、有望な高校生を中心に獲得しました。そこに、いまや山本由伸と並ぶ2枚看板となった宮城大弥投手、太田、紅林、元、来田が含まれていた。実を結びつつあると思います」と解説する。

 2021年には25年ぶりのリーグ優勝、昨季は26年ぶりの日本一を成し遂げたオリックス。吉田正の流出という危機を乗り越え、輝かしい未来につなげることができるか。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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