「野球って限界産業」売上捨てて“自由席”復活 広島オーナーの狙い「今、一番心配」

女子野球の振興…母親と子どもがキャッチボールできる環境作り目指す

――少年野球や女子野球は。

「今やっているのは女子の小中の軟式野球。小学校では男の子も女の子も一緒にやっている。でも中学校では体格差とかも出てくるから、(女子は)小学校ではいいのに、中学校では、と野球をやめるというような話にもなってくるわけ。それで中学生の女子が野球を続けられる受け皿を作った。今、第1回目の子が高校の女子の硬式野球のチームに引っ張ってもらったり、そういうのも出てきた。その流れの中でうまくやっていけば、女子の高校野球の方に貢献できるんじゃないかなと思っている」

――それは野球人口も意識してのことですか。

「野球人口であり、野球観戦人口。この子らが結婚して、お母さんになって、子どもたちがという感じで。自分の子どもが野球したいって言ったら、お母さんがキャッチボールできるよ、お父さんより私の方がうまいよ、ぐらいのお母さんがおれば、子どもたちと一緒にキャッチボールしてくれる。昔のイメージではお父さんがキャッチボールだけど、今後はお母さんがグラブを持って、教えてくれるんじゃないか、そういう感じのを10年計画でね」

――元広島外野手の浅井樹氏が監督を務めている。

「浅井は一般的な打撃塾みたいなのを作って、同時に中学校の女の子の監督もしている。小学校の女子の監督は(元広島内野手の)桑原(樹)がやっている。いろんなチームに入っている女の子たちを集めて、チームを作っていこうと、全国大会があるから頑張って出てみたらどうでしょう、というような感じでね。それをちょっとずつやっていけば、少しは良くなるんじゃないかと思う。今はまだ弱いけどね」

――女子野球には他球団も力を入れはじめている。

「女子の高校生が甲子園で決勝ができるようになったじゃない。あれは大きいと思う。だから、ウチの場合は、その下を育てて、上に上げるようにやっていけば、全国で硬式野球をする女子が増えてくるんじゃないかと思う。そうしたらプロになりたいという子が出てくる可能性もあるわけだしね。それは、じわっと時間をかけてやった方がいいと思っている」

――未来に向けてこれだけはやっておかなければいけないことはありますか。

「施設的にはここ(マツダスタジアム)を大切にしながら、いい形で、早いうちに修繕しながらとか、いつもきれいにしておくとか。小さい、表に出ないような修繕をちょっとずつ、きっちり手入れをしとけば、寿命が長くなる。そういうことを定期的に、こうなったら、これを換えなきゃいけんね、というようなルールみたいなのをしっかり作っておけばいいんじゃないかと思っている。それを広島市とシェアしていけばいい。これはウチがやりましょう。そこについては広島市でやってくださいとかね」

――さらなる新展開は。

「もう十分じゃろ、わし。そう思わんか、球場まで作って。それ以降もきっちり、きっちりしたことをやっているし、もうええじゃろという感じや。もう72ぞ、2月に。でも、今、ワシが一番心配するのは、このコロナの期間中に崩れてしまったコミュニティやね。我々がいうのは球場内で生まれるコミュニティのこと。楽しく球場で会いましょうねというものがあったはずなんだけど、それがコロナでバラバラになってしまった。それを復活させなければ、ということやな」

自由席復活で「コミュニティが生まれる可能性が出てくる」

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