「野球って限界産業」売上捨てて“自由席”復活 広島オーナーの狙い「今、一番心配」

広島・松田元オーナー【写真:編集部】
広島・松田元オーナー【写真:編集部】

広島・松田オーナー「カープは地域に育ててもらった球団」

 地域に密着したファンサービス。広島の基本は絶えずそこにある。松田元(まつだ・はじめ)オーナーへのFull-Count単独インタビュー最終回は、これから先の時代を見据えての話。優勝を狙うチームには、ファンのバックアップは不可欠だが、そんな中でさらに考えていること、積極的に推し進める女子野球振興についてなど、オーナーの熱い思いを聞いた。

――1995年に登場したマスコットのスラィリーもすっかり定着しました。

「マスコットは絶対いるって話になった時に、(アメリカの)セサミストリートのキャラクターデザインを手がけたところにデザインを頼んだ。何か変わったものでいいんじゃないかって感じでね。当初から若い女の子は平気だったけど、子どもは怖がって逃げていたね。今は大丈夫と思うけど」

――そのスラィリーも変化している。

「スラィリー自身は同じなんだけど、今はグッズ上でいえば、のんびりスラィリーとか、そういうちょっとふわっとしたようなキャラクターのスラィリーを展開したりとか、ずいぶん前には目が変わるようにしたりとか、付け替えるようにして勝ったときはこうじゃとか、そういう工夫もちょっとずつしているという感じやな」

――勉強のために、社員を海外に派遣している。

「去年は70人から80人行かせたかな。というのもここ2、3年は(コロナ禍で)行かせていない子がいるじゃない。ウチに入った子は基本的には1回はアメリカの球場を見に行かせる。去年は行ってない子を入れたり、中堅社員で、過去に行ったけど、もう1回見にいきなさいというのも入れたら、そういう数になった。アメリカだけじゃなくて、タイにも行かせているし、エクアドルにも。これは商品の関係でね」

――アメリカの球場などに行くのは、何かしらまた新しいものをということですか。

「そういう感性を持って見てくれたらいいんだけどね。まぁ、できるだけ新しいものを見た方がいいだろうという感じ。グッズとか食べ物とか。バスケットのチームも見せた。フットボールのチーム、アマチュアの大学も。今までは野球ばかり見せてきたけど、野球と違う世界の興行、アメリカの興行を見たらいいんじゃないかという話。(NBAの)ブルズとかレイカーズとかも見て、だいぶ刺激を受けて帰ってきていたし、野球場ばかり見せればいいわけじゃないなと思ったね」

――広島全体をもっと活性化していく。

「いつも、そういうふうに思っている。やっぱり地域に育ててもらった球団じゃけん。地域が産んでくれて、地域が育ててくれた。よく市民球団とかって言うじゃない。市民じゃないよね、我々は。地域で育ったもんだから。行政上の区分の地域じゃなくてもっと外れてもいいよね、(山口県の)岩国とか。広くいろいろなことを地域として考える。その中で我々が、貢献できることをね。表には出ていないけど、小さいことでもやりながらね」

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