「やらなかったら一生、後悔する」 上原浩治氏が明かす第1回WBC準決勝での好投秘話

2006年の第1回WBCに出場した上原浩治氏【写真:Getty Images】
2006年の第1回WBCに出場した上原浩治氏【写真:Getty Images】

起死回生で進んだ準決勝、大会3度目となった韓国戦で7回3安打無失点

 3月9日、ついに「カーネクスト 2023 WORLD BASEBALL CLASSIC 東京プール」が開幕する。これまで野球日本代表「侍ジャパン」は2006年の第1回大会、2009年の第2回大会と2度、世界一に輝いた。その栄光は忘れられない名場面で彩られているが、その舞台裏には“陰の立役者”が多くいる。奇跡の連続だった2006年の名場面として脚光を浴びる、韓国との準決勝で福留孝介が放った代打決勝本塁打もまた、先発・上原浩治の好投があってこそ生まれた劇的弾だった――。

 巨人やメジャーで活躍し、2019年に引退した上原氏は現在、人気YouTubeチャンネル「上原浩治の雑談魂」で野球にまつわる話題を幅広く提供している。13日と18日に初回配信される回では、2009年のWBC連覇に貢献した岩隈久志氏をゲストに迎えて過去4大会を振り返る企画を実施。“謙虚”な2人がピックアップした名場面はいずれも、自分自身ではなく仲間の活躍シーンだった。

 収録後、改めて上原氏に2006年当時のことを聞いた。

 エンゼルスタジアムが舞台となった2次ラウンドで、日本は米国と韓国に敗れて1勝2敗となった。韓国は3勝全勝で1位通過が決定。残る準決勝進出チームはメキシコ-米国戦の結果次第だった。メキシコが勝てば1勝2敗で3チームが並び、失点率で通過チームが決まる。日本の通過条件は「メキシコが2点以上で勝利する」こと。可能性は極めて低いように見え、帰国を覚悟した日本代表メンバーたちは買い物や食事など、思い思いの時間を過ごしていたという。

 だが、もしも準決勝に進めば先発予定だった上原氏は、球場での調整に余念はなかった。登板しない可能性の高い試合に向けて集中力を上げていく作業は容易ではない。上原氏は「(準決勝進出は)他力(本願)というところもあったので、気持ちを高めていくというものではなく、結果を待つだけだった。でも、(練習を)やらなかったら一生、後悔する。いつも思っていることですが、ちゃんと準備だけはしておかないといけない」と、黙々とメニューをこなしていたという。

 メキシコが米国に2-1で勝利したことで“吉報”は届いた。失点率で米国とメキシコを上回った日本は、大逆転で準決勝進出。その対戦相手は、この大会で3度目となる韓国だった。同じ相手に何度も負けられない。緊張感が漂う中、上原氏は、7回を86球、3安打無失点と投球制限内で好投。ここまで苦しめられてきた韓国打線をねじ伏せた。0-0の7回表に飛び出した福留の先制2ランも、6回までの力投が引き出したもの。得点を奪った直後の7回裏をきっちり無失点に切り抜けたことも大きかった。

3試合先発で2勝無敗、防御率1.59の力投を陰で支えた男とは

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