看板直撃弾は信用していい? 中日新助っ人にチーム内から聞こえる“リアル評価”
アキーノに被弾の大野雄大「フェンスオーバーは予想外でした」
引っ張った左翼へのスタンドインならまだ冷静に受け止められたが、非の打ち所がないセンター方向。「完璧なバッティングでしたからね。今までなかなかなかった。勉強になりました」。自らの状態を差し引いたとしても、驚きは大きかった。自らの“被弾経験”を振り返ると、ひとつイメージが重なる一発があった。
「最近やったら、2021年に誠也に打たれた満塁ホームランに似てましたね」。2021年10月7日の広島戦(バンテリンドーム)。両チーム無得点の5回1死満塁で、内角を狙ったストレートが甘く入ってバックスクリーン左に運ばれた。「僕の中でのホームランのイメージはあれと同じような感じですね」と例えた。
ここまでのアキーノの印象は、おそらく偵察する他球団のスコアラーと変わらない。「ローボールは打ちますね」。血気盛んにブンブン振り回す感じもなく、見極めもできている。手の長さを生かし、外角にもバットが届く。2度目の対戦でツーシームを中堅フェンス際まで運ばれた大野雄は「腕が長いですよね。あそこまで飛ばすのはなかなかない」とうなった。
この日同じくシート打撃で対戦した小笠原慎之介投手も「外の真っ直ぐは届くでしょうね」と見る。あとは外角へ逃げていく変化球に手を出さないかがひとつ鍵だと、昨季の10勝左腕は見ている。
真価が問われるのは、本番モードに入っていくここから。立浪和義監督も「弱点っていうのは、必ず相手は見つけてくる。そういう時に対応できる形を見つけていけば」と冷静に見極めていく姿勢を保つ。貧打線を救う救世主となるのか、期待ハズレに終わるのか。沖縄の空を切り裂いた弾道は、少なくとも“前者”だとチームメートが期待を抱くには十分だった。
(小西亮 / Ryo Konishi)