背水の燕元守護神「めちゃめちゃ危機感あります」 投手コーチが“初めて”感じた変化
プロ11年目の石山泰稚「圧倒的な数字が欲しい。9回を目指すだけです」
セ・リーグ3連覇、日本一奪還を目指すヤクルトは、抑えを務めていたスコット・マクガフ投手の“穴”をどう埋めるかが注目されている。並々ならぬ意欲を燃やすのが、石山泰稚投手だ。新球習得も順調で、伊藤智仁投手コーチは「55~60試合くらい投げるのでは。ニュー石山が見られるかもしれない」と太鼓判を押した。
2012年ドラフト1位で入団し、1年目から60試合に登板して10セーブ、21ホールドをマークした石山。2018年には35セーブを挙げたが、昨季は38試合の登板にとどまった。元守護神は「ここ最近ずっと1軍に定着してない。もう11年目でほかの球団の人も僕のスタイルを分かり切っているし、やはり変えていかないと怖くもないんだろうなと思って」と新球習得に挑んだ。「まだ言えません」と詳細は明かさなかったが投じているのは中間球で、ブルペンでは手応えを感じている。
伊藤コーチは「1年目からずっと石山を見ていて変化球をいいと思ったことは1回もないけれど、初めていい変化球投げるなと思った」と冗談交じりに明かす。「抑えがいなくなったし、リリーフは大事」と復活に期待を寄せた。
自身が不甲斐ないシーズンを送る一方で、勢いのある若手が多く出てきた。石山は「めちゃめちゃ危機感はありますね。昨年だったら木澤とか久保とかが出てきて抑えて、新しい人が新しい技術で抑えるのは新鮮でしたが、やはりライバルなので。限られた人数しか入れない枠なので、プレッシャーはあります。ただプレッシャーをいい力にしないといけないと思います」と表情を引き締めた。
“華の88年世代”も、すっかりベテランの域に入った。「今回の侍ジャパンにも(88年世代が)1人も入っていなくて、そういう年なのかなとは思っています。みんな、また花を咲かせてやろうっていう気持ちでやっていると思いますし、僕も長く現役をやりたいと思う。だからもう一回、圧倒的な数字、成績が欲しい。一番いい人が9回に行くと思うので、9回を目指すだけです」。
普段は控えめな男の力強い決意に、今季に懸ける思いがにじんでいた。
(町田利衣 / Rie Machida)