激戦区・神奈川から北海道へ 紋別高・加賀谷実監督が進める「ルパン型」のチーム作り
紋別で合宿…名門・横浜高から受けた強い刺激
昨年8月には、加賀谷監督が仕掛け人となり、横浜高校の紋別合宿が実現した。そこには、「高いレベルを肌で感じてほしい」という指揮官の願いが込められている。午前に練習試合を行い、午後には合同練習を組んだ。「打球の質やスピード感が違い過ぎました。ほかの学校と試合をしたときには、『横浜の打球はもっとすごかったな』とチームメートと話すこともあって、強い刺激をもらうことができました」。
加賀谷監督は弥栄時代から投手育成に定評があり、「毎回レベルの高い投手を育ててくる面倒くさい指導者」(日大藤沢・山本秀明監督)と恐れられていた。現在の紋別では、181センチの上背から角度のあるストレートを投げ込む尾本悠真がエースに成長し、今春のブレークに期待がかかる。
「ひとりひとりは着実にうまくなってきていて、そこには自信があります。あとは、チームとしていかに勝っていけるか。就任して3年目になるので、楽しみでもあります」
土台作りから、花を咲かせる時へ。「紋別旋風」を起こす準備は着々と進んでいる。
(大利実 / Minoru Ohtoshi)
○著者プロフィール
大利実(おおとし・みのる)1977年生まれ、神奈川県出身。大学卒業後、スポーツライターの事務所を経て、フリーライターに。中学・高校野球を中心にしたアマチュア野球の取材が主。著書に『高校野球継投論』(竹書房)、企画・構成に『コントロールの極意』(吉見一起著/竹書房)、『導く力-自走する集団作り-』(高松商・長尾健司著/竹書房)など。近著に『高校野球激戦区 神奈川から頂点狙う監督たち』(カンゼン)がある。