後輩は“OK”なのに…「お前はまだ早い」 なぜか許可されず、叱り続けた闘将の思惑

元中日・山本昌氏【写真:荒川祐史】
元中日・山本昌氏【写真:荒川祐史】

自動販売機のジュースを取ろうとしたら「頭をひっぱたかれた」

「あのピッチャーが50歳まで現役を続けるなんて」「200勝するなんて」……。失礼ながら、山本昌氏の4年目までの“初期時代”を知る関係者からはこんな声がよく聞かれる。言い換えれば、見事な大変身、見事な大成長ということだ。並大抵の努力では変われないレベルといってもいい。そこにはアイク生原さんや多くの恩人との出会いが大きく関係していたのも周知の事実だ。なかでも、やはり星野仙一氏。「一番の恩人です」と山本氏も話した。

「星野さんにはいつも叱られたというのがありますね、まずは。あと、やっぱり星野さんのおかげでっていうのがあります。いつも気に掛けてくれてて。褒めてはくれなかった。褒められたことはない。あっ1回だけ、すごく褒めてくれました。引退する時だけ」

 プロ5年目のドジャース留学をきっかけに、大投手の道を歩み始めたが、星野監督はいつも山本氏を緩めることはなかった。「最初、国産車だったんですけど、2年くらい頑張ったし、皆さん、外車を買い始めていたから自分もと思ったんですが、星野さんに『お前はまだ早い』と言われた。タツ(立浪)とかは乗っていたんですけどね」。結局、1991年までの第1次星野中日の間は我慢したそうだ。

 怒られてハッとなったこともあった。「何人かの先輩に言われて、ナゴヤ球場の自動販売機にジュースを買いに行った時のこと。そのジュースを取ろうとしたら、いきなり頭をひっぱたかれたんです。誰だっと思って、パッと上を見たら星野さんだった。『お前、突き指したら、どうするんだ!』って。その時、僕は(利き手の)左手を突っ込んでいたんですよ。それからは左で取ったことはありません」。

「ドラゴンズ以外では大成しなかった。これは間違いない」

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