韓国と繰り広げた究極の“情報戦” 決勝戦は「いつもと逆に」…宿敵との5戦目で秘策

城島はキューバ戦で構えとは逆のコースに投げさせた
大会を通して考えれば、さらに多岐にわたる。キューバ戦では相手ベンチからコースを伝える声を察知した捕手・城島健司(当時マリナーズ)がタイムをとってマウンドの松坂大輔と打ち合わせして、構えとは逆のコースに投げさせる作戦を展開。「城島はああいう洞察力というか、めざといというか、そういうところがありましたね、野球小僧的な」と高代氏も感心するばかりだった。
一方で、1回だけ、ある選手がサインミスを犯したことがあったという。「聞いてみたら、ここはないやろっていう思い込みでした。サインミスにはそれが一番多いんですけどね。一切、マスコミには言わなかったですよ。三塁コーチャーの職務的なことだけど、サインミスがあっても平然とした普通の顔でいなさいよっていうのがセオリーなんでね。たとえ腹の中が煮えくり返っていても知らん顔してないといけないですから」。
三塁コーチの高代氏は日本だったら通常、相手のシートノックを見て、外野手の肩の状態などをチェックできたが、WBCの場合はそれがなかったのでできなかった。「イチローに『肩強いやつおるか?』って聞いたこともありましたね。そしたら韓国のライトの『秋信守は肩強いですよ』って。『僕ほどじゃないけど』とも言ってましたけどね」。これも準備のひとつ。もちろん、スコアラーからの情報は欠かせないし、思い起こせば、いくらでも優勝の要因が出てくる。第1回大会に続く連覇は、総合力での勝利だったということだろう。
だが、2013年の第3回大会は準決勝敗退。高代氏も2大会連続で内野守備走塁コーチを務めたが、悔しい結果に終わった。
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)