「良い経験はお金で買えない」 吉田正尚WBC参戦へ帰国、侍J「断る選択肢なかった」
メジャー挑戦1年目もWBC参戦「1番を目指したい」
今季からレッドソックスに移籍した吉田正尚外野手が、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場するため3日夜、キャンプ地の米フロリダから帰国した。
メジャー組では、共に主軸を張ることが見込まれていた鈴木誠也外野手(カブス)が負傷離脱。宮崎キャンプからチームに合流しているダルビッシュ有投手(パドレス)、3日の名古屋遠征から合流した大谷翔平投手(エンゼルス)、ラーズ・ヌートバー外野手(カージナルス)に続き、メジャー組では最後のチーム合流となった。
オリックスからメジャー移籍1年目のシーズン。米国で自身のコンディションを向上させる手もあったが、吉田は選ばなかった。「世界一を目指して戦いたい。どんな状況でもベストを尽くす。1番を目指したい」。並ならぬ気持ちで、今大会に参戦する。
ポスティングシステムを利用して、29歳でのメジャー挑戦。覚悟があった。「自分と向き合って、真剣に求めたのは『大きな夢』を叶える。もう、一心になるだけ。それだけでした」。幼い頃から描いた青写真は、メジャーの舞台に立つこと、そして、もう1つ……。「世界一の瞬間を味わうこと」。長時間のフライトでも、歓喜の瞬間をイメージして帰国した。
近日中にチームに合流する方向で、6日にかつての本拠地・京セラドーム大阪で開催される阪神との強化試合からファンに姿を披露する予定。侍ジャパンの打線は3日の壮行試合で中日投手陣に6安打2得点と苦しんだだけに“起爆剤”としての期待がかかる。日本代表での背番号34は「愛着がある」と深くうなずく。海を渡って1年目。自身の調整が難しい中で、なぜ、WBC参戦を決めたのか。
「良い経験はどれだけお金があっても買えない。その舞台は、誰にでも簡単に手に入れられるものではない。そこを目指して、努力をするのは当然で、そのこと(野球)を究極に好きになって突き詰めて……。そういう人間でありたい。僕にとって、それが野球だった。だから、世界一を目指せる舞台を断るという選択肢はなかった」
心の炎が、また燃え出した。
(真柴健 / Ken Mashiba)