“人類最速左腕”攻略へ…侍が仕掛けた「カリカリ」大作戦 牽制死連発も「勝った」

体調崩した中島に代わって片岡が遊撃で出場「ハマりました」

 初回は四球で出塁の青木宣親が二盗に成功。2回は小笠原道大が四球を選び、けん制で刺された。さらに内川聖一も四球で出たが、けん制で挟まれてアウトになった。「見ている人はなんで日本は拙攻しているんだろうというように思われたかもわからないけど、あれはあれで、こっちの作戦だったんで全然良かったんですよ。チャップマンがカリカリしていたのが目に見えてわかったんでね。これでこの試合は絶対勝ったと思いましたね」と三井氏は話した。

 思惑通り、3回に侍打線はチャップマンを攻略した。剛球左腕は侍の足技による揺さぶりで冷静さを失い、ストライク、ボールもはっきりしていた。城島健司、岩村明憲の連打で無死一、二塁。イチローは投ゴロに倒れたが、2番に入った片岡易之(現・保幸)がストレートをとらえてのレフト前ヒット。これでKOした。この後2番手のN・ゴンザレスの暴投で先制するなど、3点を奪った。キューバの中継ぎはレベル的に日本の打者なら打てるはずとの読みもあったという。

「あの時、ナカジ(中島裕之、現・宏之)が体調を崩していて、代わりに誰をショートにするって監督に聞かれたんですけど、僕はヤス(片岡)を推したんです。走力があって、走塁に関して積極的。どっちかというと真っ直ぐで一本調子のピッチャーに強い。大きな力になると僕の中にはあったんで、ヤスでいきましょうよって監督に助言しました。そのヤスがヒットを打ってくれた。あれもハマりました。チャップマンに関してはうまくハマりましたね」

 まさに作戦大成功のキューバ戦勝利だったが、この大会期間中、三井氏がもっとも余裕を持って試合に臨めたのは準決勝の米国戦だったという。全然ピリピリムードがなく「みんながいける、いけるみたいな感じだった」からだ。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

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