選抜出場の慶応に1点差惜敗 日大藤沢、投打の柱が明かす昨秋の悔いと夏への思い

田上の負けられないライバルは大阪桐蔭・小川大地

 高校通算は7本塁打だが、181センチ80キロのサイズとパンチ力のあるバッティングが評価され、ドラフト候補に名を連ねる。「絶対に高卒でプロに行きたい。何かひとつにずば抜けているわけではないので、走攻守すべてのバランスを上げていきたいです」。

 田上にも負けられないライバルであり、仲間がいる。小学6年時に横浜DeNAベイスターズジュニアでチームメートだった小川大地(大阪桐蔭)だ。当時は田上がエースで、小川がショートを守っていた。「同じショートとして負けたくない。ずっと仲が良くて、小川が年末に横浜に帰ってきたときには一緒に遊びました。めっちゃいいやつです!」。

 毎年夏、日大藤沢はチームスローガンを背中に刺繍したTシャツを作成し、チームの一体感を高める。キャプテンの柳沢によると、今年の言葉もすでに決まっているとのこと。「『逆襲』です。相模や横浜、慶応、桐光がずっと強くて、日藤はもう何年も甲子園に行けていない。今年こそ、日藤の歴史を変えたい。どんな相手でも粘り強く戦えるのが強みだと思っています」。

 新たな歴史を作る夏へ。虎視眈々と、神奈川の頂点を獲る準備を進めている。

(大利実 / Minoru Ohtoshi)

○著者プロフィール
大利実(おおとし・みのる)1977年生まれ、神奈川県出身。大学卒業後、スポーツライターの事務所を経て、フリーライターに。中学・高校野球を中心にしたアマチュア野球の取材が主。著書に『高校野球継投論』(竹書房)、企画・構成に『コントロールの極意』(吉見一起著/竹書房)、『導く力-自走する集団作り-』(高松商・長尾健司著/竹書房)など。近著に『高校野球激戦区 神奈川から頂点狙う監督たち』(カンゼン)がある。

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