ダルビッシュの不安消した“元守護神”　持ち場奪われても…「足が震える場面」で男気

2009年WBCでは途中でダルビッシュを抑えに…藤川＆馬原がサポートした

　野球日本代表「侍ジャパン」がワールド・ベースボール・クラシック（WBC）で優勝した2009年の第2回大会は、準決勝の米国戦からダルビッシュ有投手（日本ハム）を抑えで起用したことが奏功した。藤川球児投手（阪神）と馬原孝浩投手（ソフトバンク）という日本球界を代表するストッパーが2人もいた中での配置転換だったが、その舞台裏はどうだったのか。ブルペン担当の投手コーチだった与田剛氏に当時を振り返ってもらった。

　決勝の韓国戦（3月23日、ドジャースタジアム）に延長10回5-3で勝ち、侍ジャパンは世界一に輝いた。待ちに待った歓喜の瞬間。与田氏は「最後のマウンドに立ってくれたダルビッシュを、藤川がサポートしてくれたことが頭にパッと浮かびました」という。それから思い出したように「ダルビッシュと初めてハグしましたが、腰にしがみついた印象がある。それくらい大きいなって改めて感じましたね」と笑みを浮かべた。

　ダルビッシュの抑え起用は山田久志投手コーチが発案したとされ、原辰徳監督も承諾した。結果的にはこれが大きかったと言われる。与田氏も「ダルビッシュはいろんな不安もあったでしょうけど、本当によくやってくれたと思います」と称える。

　もちろん、ブルペン担当としては当然、藤川と馬原のプライドも考えた。「フォローという言葉が適切かはわかりませんが、役割をしっかりと伝えて、そして最後までみんなの力が必要なんだと、そんな話をした記憶があります」