欧州勢は「格下」ではない…WBC勢力図に異変 韓国は大苦戦、初開催から17年の変化
イタリアには複数人のメジャーリーガー、韓国は3大会連続1次ラウンド敗退
第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は1次ラウンドが終了し、準々決勝も残すところ1試合と佳境を迎えている。過去の4大会を牽引してきた日本や米国が順当に勝ち進む中、かつての強豪国の苦戦もあった。さらに、今大会から出場チームが「16」から「20」に拡大。予選を勝ち上がってきた国の健闘が目立つなど、勢力図に変化が現れている。
侍ジャパンと同じプールBでは、初出場だったチェコの奮闘が日本のファンの心をつかんだ。1勝3敗の4位だったものの、格上を相手にも最後まで諦めず、試合に負けてもベンチ前で相手チームに拍手を送るなど、すがすがしいスポーツマンシップが光った。教師や消防士といった本業のかたわら、野球をプレーするセミプロの選手が大半だが、中国戦に8-5で打ち勝ち、嬉しい初勝利もゲットした。
台湾・台中で行われたプールAは、大会史上に残る大混戦になった。古豪のキューバや2大会連続ベスト4のオランダに、イタリアや予選突破組のパナマが食い下がり、地元の台湾も含めて全チームが2勝2敗で並んだ。失点率の差でキューバが1位、イタリアが2位で突破。今大会、初めて亡命したメジャーリーガーを代表に招集したキューバは、2006年以来のベスト4進出と復活に光が見えた。
特に目立ったのは、初の1次ラウンド突破を果たしたイタリアら欧州の国の躍進だ。イタリアはデビッド・フレッチャー(エンゼルス)らを筆頭に、複数人のメジャーリーガーが出場しており、もはや「格下」や「波乱」と呼ぶのは失礼に当たるだろう。野球のイメージがないイギリスもコロンビアを破り、米国とメキシコに対しても接戦を演じ、冷や汗をかかせた。
一方で、2006年ベスト4、2009年には日本と激闘の末、準優勝を収めた韓国が3大会連続で1次ラウンド敗退と元気がない。初戦の豪州戦を落とすと、侍ジャパン戦では13失点と投手陣が炎上、最終戦を待たずに敗退が決まった。中国戦ではうっぷんを晴らすかのように、大会史上最多得点を更新する22点を奪ってコールド勝ちしたが、国内メディアからも厳しい声が続出している。
2006年の第1回大会から今年で17年目を迎える。2017年の前回大会から6年の時間が空いたことで力関係は変わりつつも、野球という競技の普及という観点では、一定の成果を挙げていると言ってもいいだろう。その証拠に、1次ラウンドの観客動員数は前回大会の51万56人から98%増、史上最多の101万999人を記録。東京ドームでもキューバと豪州の一戦で、3万5061人の野球ファンが熱狂に包まれた。
(Full-Count編集部)