走者なしは「楽しくない」 満塁で真価…大会1号放った沖縄尚学4番の“強靭メンタル”

大会第1号本塁打を放った沖縄尚学・仲田侑仁【写真:共同通信社】
大会第1号本塁打を放った沖縄尚学・仲田侑仁【写真:共同通信社】

沖縄尚学の4番・仲田が実感…チャンスで打つことこそ「野球の楽しさ」

 アルプス席から“指笛”が飛んだ。第95回選抜高校野球大会が18日、阪神甲子園球場で開幕。大会初日の第3試合は2008年以来3度目の頂点を目指す沖縄尚学(沖縄)が4-3で大垣日大(岐阜)に勝利した。「昔からチャンスが好き」という「4番・一塁」の仲田侑仁内野手(3年)が、両軍無得点で迎えた3回2死満塁の場面で放った大会第1号本塁打が決勝打になった。これは選抜における、沖縄県勢初の満塁弾でもあった。

 冬のトレーニング中に取り組んだ「ストレートを一気に仕留める練習」の成果が発揮された。投球マシンとの距離を約16メートルまで縮め、スイングの軌道やタイミングの取り方を意識しながら速い球を打ってきた。大垣日大のエース・山田渓太投手(3年)が投じた初球のストレートをとらえた左越え弾。「歓声で入ったと分かりました。嬉しかったです」と笑顔を見せた。

 昨秋の公式戦で、今大会出場校中最高のチーム打率.407を記録している同校でトップの打点(9試合17打点)を誇り、今大会の全登録選手の中でも公式戦での打点数3傑に入る仲田。「ランナーがいないと面白くないので、チャンスで回すようにみんなに言ってます」と語るほど、プレッシャーに対して前向きだ。

 昨秋の九州大会決勝では逆転優勝の口火を切り、神宮大会では昨夏の王者・仙台育英から先制の右前適時打を放つなど、得点への意識は高い。重圧を乗り越える秘訣は、落ち着いていながらも楽しむこと。仲田は「チャンスで打ったらみんなが盛り上がってくれて、チームに流れも持ってこられて。そこが面白くて、野球の楽しさでもあると思う」とバッティングの醍醐味を語った。

 3年ぶりに声出し応援が解禁された今大会。3塁側アルプススタンドでは球場警備員から指笛禁止令が出ていたが、大垣日大の追い上げを2桁安打で退けたナインへ、甲高い祝福の音を送らずにはいられない“島人”が相次いでいた。

(喜岡桜 / Sakura Kioka)

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