妻が毎朝“トイレに貼り出し” メンタル変貌…「本人の前では言えない」献身への感謝

「なかなか本人の前では言えないけどね、とても感謝しています」

「去年、(広島の)上本(崇司)が、その先生とメンタルトレーニングをしたって聞いた」と佐々岡氏はうれしそうに話す。上本は佐々岡氏が指揮を執った昨季、成績を大きくアップさせただけに「やっぱり。そういうのはいいのかなって思ったね」と言い、昔の自分も思い出したようだ。「1998年は本当に成績も体も下がっていた時の転機で、心技体全部に先生をお願いした。心は精神、メンタルの先生。技術、体力は西本さんにね」。

 振り返れば、1998年オフの「心技体」3つのモデルチェンジには、すべて優子夫人が知人のツテを使うなど、大きく関わっている。トイレの貼り紙もしかりだし、佐々岡氏にしてみれば、あんなこともしてくれた、こんなこともしてくれた。それこそ、言い出せば、いくらでも出てくるのだろう。「本当に一生懸命やってくれて……。なかなか本人の前では言えないけどね、とても感謝しています」と話した。

 2000年は2度目の開幕投手となり、2年連続2桁勝利となる10勝をマークした。2001年も開幕投手を務め、さらに途中からは抑えも……。人生、何が起きるかはわからないが、あそこで変わっていなければ、もしかしたら、その後の現役生活はもっと短かったかもしれない。佐々岡氏はモデルチェンジできてよかったと心底思っている。

 先発でスタートした2003年も途中から抑えとなり、9月14日の横浜戦(広島)でセーブを記録し、NPB史上6人目の100勝100セーブを達成した。2006年5月4日のヤクルト戦(神宮)では先発して勝利投手となり、史上2人目の先発100勝100セーブの偉業も成し遂げた。“スーパー投手”としての勲章が増えていった。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

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