近くて遠い甲子園、“苦悩の6年間”が報われた選抜初采配 監督を支えた2人のスタッフ

大角監督を支える宮崎コーチ、磯野部長に「いい景色を見せてあげたい」

 何度も県内で優勝候補に挙げられながら、あと一歩のところで甲子園を逃す日々。「ある意味、けじめの大会」と、腹をくくった昨秋は近畿大会準優勝の成績を収め念願の選抜出場を勝ち取った。そして、試行錯誤しながら“苦悩の6年間”を経て手にした春初勝利。それでも指揮官は「コーチ、部長たちのおかげ。僕なんかよりコイツらを取り上げてやってください」と、謙遜する。

 大角監督を長年支えてきたのが、宮崎翔コーチ、磯野剛徳部長の2人だった。寝る間を惜しんで練習メニューを考え、最先端のトレーニングを学び、休日を返上してまで選手のスカウティングを行うこともあった。全ては選手たちの夢を叶えるため。その姿を見てきただけに「頑張ってくれているコーチ陣にも、いい景色をみせてあげたい」と、是が非でも勝利を届けたかった。

 雨天中止となった23日には磯野部長の発案で、2009年選抜ベスト4を手にした中京大中京戦の映像を全員で視聴した。1点を追う9回にエース右腕・堂林翔太(広島)から2点を奪って逆転勝ちした先輩たちの姿を目に焼き付け「次は自分たちが……」と初戦に向け士気を上げた。

 監督、選手、コーチの全員で掴んだ悲願の1勝。伝統を引継ぎながら、自立を促す新たなチーム作りが実を結んだ。新生・報徳学園が2002年以来の選抜優勝を目指していく。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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