ムロツヨシ&宮沢氷魚が触れた“スカウト”の覚悟 逸材獲得は「残酷さを背負っている」
“終戦日”の撮影は「途中から2人、本当に元気なくなっちゃって」
ムロ:ドラフト会議のシーンを撮った日は、クライマックスシリーズ最終戦(2-3で敗れた阪神とのファーストステージ3戦目)でした。途中から僕たち2人、本当に元気なくなっちゃってね。監督から「頼むから試合のことは忘れてください」って言われたんだけど「それは無理です」って(笑)。まさかあそこで終わるとは思っていないから……。
宮沢:最後、チャンスだったんですけどね。ショックでした。
――「スカウト」という仕事を演じてみて。
ムロ:僕の演じた郷原眼力が、ドラフトで選んだ球児の前で「お前が入団することで、誰か1人がクビになる。そういう厳しい世界だ」と言うシーンがあるんですが、このセリフに凝縮されている。夢を形にしてあげられる立場ではあるけれど、逆に言うと誰かを自分のチームからいなくならせるという残酷さを背負って人を見出すということ。改めてそこに向き合うことが大きかったですね。
宮沢:みんなが知っているような数字だけではない、深いところで選手を評価してチームの1つのピースとして選んでいる。それがとても感慨深くて、深いなと思いました。
宮沢:撮影が始まる前に、元横浜の投手で現在スカウトをされている吉見祐治さんを特集している映像を見ました。「スカウトって恐ろしい、とんでもない仕事だな」と思いましたね。その映像では吉見さんはスカウト1年目でまだ担当の選手をドラフトで指名していなくて、そこが僕の演じた神木良輔とリンクする部分があったんです。吉見さんの思いが映像から凄く伝わってきて、神木もこんな気持ちなんだろうなと思いました。