「貢献度は計り知れない」 世界一に不可欠なMLB組、ベンチ裏で見せた気遣いの数々

松井裕樹(左)に声をかける大谷翔平【写真:Getty Images】
松井裕樹(左)に声をかける大谷翔平【写真:Getty Images】

大谷翔平は打たれた松井裕樹の隣でずっと話し続ける姿が印象的だった

 そして、違う立場で大きな影響を与えたのが大谷翔平投手(エンゼルス)だった。3月3日、名古屋で行われた中日との壮行試合前にナインと合流。大谷が声をかけたのが松井裕樹投手(楽天)だった。

 松井は今大会、WBC球への対応に苦しんでいた。合宿前の2月14日、楽天キャンプ中の練習試合・日本ハム戦では1回持たず5安打6失点し、2月25日のソフトバンク戦でも失点こそなかったが2四球。3日の中日戦では、2安打3四球で1回を投げ切れず、4失点でマウンドを降りた。

 周りが徐々にWBC球に対応できている中、ひとり苦しい思いをしていたのだろう。交代が告げられ、うつむきがちにマウンドを降りた。チームメートは降板したときこそ、次々に背中をたたいて励ましたが、ベンチから呆然とマウンドを見ている松井の姿には、声をかけられない雰囲気もあった。そんな中、すぐに松井の隣に行ったのが大谷だった。

 大谷は松井に対し、普段と同じように振る舞っていた。時折、励ますように肩を抱き、最終回まで隣で話し続けた。WBC球はNPB球と比較し、重くて多少大きいため、どうしても腕が遅れがちになる。投球時に前傾することを意識したほうがいいと具体的なアドバイスも送っていた。松井は「『どう?』と聞いてくれて。色々アドバイスをもらいました」と会話の一部を明かしてくれた。韓国戦では8回のマウンドに立ち3者凡退、1奪三振と苦しみながらも、好結果を残した。

 もう一人、苦しんだ若き主砲を支えたのもメジャーリーガーだった。20日(日本時間21日)、準決勝のメキシコ戦、1点を追う9回無死二塁。吉田正尚外野手(レッドソックス)は四球を選ぶと、ネクストバッターズサークルの村上に左手人差し指で“合図”を送った。「レッツゴーという感じ。さあ行こうと」。思いを託された村上は不振を払しょくする逆転サヨナラ2点適時打で決勝進出を決めた。村上は実際のところ、気がついていなかったと明かしたが、チームの士気を高め、応援する日本のファンにとっては心を揺さぶられるシーンだった。

 そこだけではない。27日に日本記者クラブ(東京・内幸町)で会見を行った栗山英樹監督が「世界一になれるんじゃないか」と直感した瞬間があったと明かす。大谷と吉田の村上に対しての行動だ。

「あまり映像に残ってないような感じだったんですが、試合中にムネ(村上)が打って(ベンチに)帰ってきたときに、2人がバッティングを教えるというか『こういう風になってるんだよね』みたいな話をずっとしているんですね。僕以上に、若い選手たちが世界に向かってもっと良くなることを皆が求めているし、そういう選手が多くならないと世界一になれないと選手たちも感じながら戦っていたのだと思う」

 村上は今大会1次ラウンドで14打数2安打、打率.143、0本塁打2打点。準々決勝イタリア戦から4番を外れ、「5番・三塁」で出場した。大谷は、村上がまだ安打が出ていなかった東京プールの中国戦、韓国戦で進塁打や犠飛に対し「いい進塁打だよ」「そういうのが大事だよ」と声をかけていた。吉田も「タイミングとか小さなことだと思うので、特に心配はしていない。4番としてどっしり座っていることが大きなことだと思う」とエールを送っていた。

 村上はメキシコ戦のサヨナラ打の翌日、決勝・米国戦でも同点ソロで“WBC初アーチ”を記録。大谷も「ムネがきつかったと思うんですけど、最後の最後に良いバッティングを見せてくれた」と穏やかな表情で労った。

大会終了後、ダルビッシュが明かした大谷からの3年後の誘い…受け継ぐ献身の姿勢

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