開幕マスク、完全試合…記録づくめも「悔しいシーズン」 18歳・松川虎生の苦悩

2年目の今季は「ファンの皆さんと最後、笑って終われるようにしたい」と語る【写真:荒川祐史】
2年目の今季は「ファンの皆さんと最後、笑って終われるようにしたい」と語る【写真:荒川祐史】

開幕直後に完全試合をリード「1人1人集中した結果」

 昨年4月10日には、NPB史上28年ぶりとなる佐々木朗希投手の完全試合をリードした。松川にとってはまだ7試合目のスタメンマスクで、“朗希さん”のボールを受けることで精一杯。「捕ることに必死でした。捕らないと1軍で使ってもらえないので」。佐々木朗のフォークは真っすぐ落ちることもあれば、スライダー気味に曲がることもある。投げてみないと分からない、まさに“魔球”を必死で掴んでいた。

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 4回には日本新記録となる10者連続三振を奪い、その後13者連続まで記録が伸びたが、記録のことは頭になかったという。「13者連続三振の時も分かってなかったんで、ベンチからボールを要求されたんですけど、『なんですか?』という感じでしたね」とすっとぼけた表情。「先を見ずにやった結果がああいうふうになったんかなと思います」。とにかく目の前の打者を打ち取ることだけに集中していた。

 毎試合反省を繰り返し、寝て起きればまた試合がやってくる。試合での落ち着きぶりから、周囲からは「高卒1年目とは思えない」との声もあるが、その心中は必死の1年だった。

 高校時代のプレースタイルから打てる捕手としての期待も高いが、まず求めるのは“勝てる捕手”になること。完全試合を導こうが、1勝の価値は同じ。オフにはヤクルトの中村悠平捕手らと自主トレを行い、スローイングや打撃を磨いてきた。昨季のプロ1号はお預けとなったが「自分のポイントで打てれば、いずれ出ると思う」と手応えも口にする。

 18歳にして1年間1軍に同行し、酸いも甘いも味わったことは、またとない経験となるはずだ。「去年リーグ5位だったので、今年はチームのピースとしてハマれるように。ファンの皆さんと最後、笑って終われるようにしたい」。プロ野球人生はまだまだこれから。がっしりとした分厚い体に、捕手としての“厚み”も加えていく。

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(上野明洸 / Akihiro Ueno)

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