「鬼の顔」のバウアーが見せた“本領” 激しい喜怒哀楽の裏に…緻密すぎる投球術

DeNAのトレバー・バウアー(右)とバッテリを組んだ益子京右【写真:荒川祐史】
DeNAのトレバー・バウアー(右)とバッテリを組んだ益子京右【写真:荒川祐史】

益子捕手「喜怒哀楽を激しくしていた方が、本人は気持ちが入るようです」

 一方、そんな理詰めの投球スタイルとは矛盾するようだが、マウンドでは喜怒哀楽が激しく、闘志を前面に押し出す。益子は「バウアーは試合前の練習終了後、シャワーを浴びて出てきた時から戦闘モードだったと、他の野手から聞きました。『鬼の顔をしていた』そうです。みんな、いつも以上に気持ちが引き締まったのではないかと思います」と証言する。3回以降は1球1球、「ウアッ」と声を出しながら投げ込んだ。内野陣はバウアー降板後の7回と9回に、計3失策を犯したが、「あれがバウアーの投球中だったら、ヤバかったかもしれませんね」と益子はジョーク混じりに苦笑した。

 バウアー自身「僕はアドレナリンが出て、気持ちが入った時の方が、パフォーマンスが上がる。大事な試合、大事な場面の方が力が出ると思う」と言う。益子は「良くも悪くも喜怒哀楽を激しくしていた方が、本人は気持ちが入るようです。そこを理解して、受け入れたり、落ち着かせたりすることが捕手の仕事だと思います」と付け加えた。

 インディアンス(現ガーディアンズ)時代の2019年には、KOされて降板する際、怒りに任せてボールをバックスクリーンへ大遠投した伝説を持つ激情家。もっとも、記者はこの日「日本でもバックスクリーンへ投げ入れて見せてくれる?」と聞いてみたが、「NO」と一蹴されてしまった。

 1軍昇格の時期については「チームと相談するが、もっと球数、イニングを増やしてからになると思う」と語り、即昇格とはいかないようだが、今からその日が待ち遠しくてならない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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