星野さんの闘争心と落合さんのオレ流を“融合” 伝説の左腕が大学球界に吹き込む新風

落合氏の野球は「手堅いです。ホント、普通の野球です」

 一方で選手にこんなふうに呼びかけてもいる。「点を取られなければ、絶対負けないわけなので、それを究極的には目指していこうよ」「スコアリングポジションにランナーを送ろうよ」。これは落合氏の影響を受けてのことで「1死一塁でもバントで送ったりもしています」という。さらに「例えば一、三塁でゲッツー。それで1点とりました。アウトになって1点取るっていう野球です」とも付け加えた。

「落合さんの野球は手堅いです。ホント、普通の野球です。でも、まだ予告先発じゃない時、先発投手の奇襲とかをやったりして、何をするかわからないってものを相手に植え付けた。それで、その野球が成り立つんですよ。だって何も仕掛けてないですもん」と近藤氏は説明する。その上で「スチールするよ、するよってしながら、スチールしないとか、そういう嫌な野球ができればいいなと思っています。なかなかそこまではできないですけどね」。

 落合氏の洞察力、観察力は見習うポイントのひとつだ。2010年4月27日の中日対巨人(ナゴヤドーム)では試合中に森球審の体調不良に気付き、交代を促した。「他の人は誰も気付いていなかった。この人はすごいなと思いましたよ」と近藤氏はうなる。「ピッチャーの立ち方がちょっと後ろ体重になっているって言われた時もありました。落合さんはピッチャーのことはよくわからないって言っていたじゃないですか。全然わかっておられましたよ」。参考になることは山ほどあるのだ。

「ディフェンスはしっかりしていこう、でもエラーしたからどうのこうのって僕は全然言わないので、アグレッシブにやってくれって選手に言っています。それで日々成長していこうよってね。エラーしたら次のプレーをしっかりしようよ、みんなでカバーしようよっていうやり方です」。東海地区大学野球連盟の岐阜県リーグで見られる近藤監督の“星野&落合野球”。今後がますます楽しみだ。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

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