星野さんの闘争心と落合さんのオレ流を“融合” 伝説の左腕が大学球界に吹き込む新風|球界群像 近藤真市#14

岐阜聖徳学園大学硬式野球部・近藤真市監督【写真:山口真司】岐阜聖徳学園大学硬式野球部・近藤真市監督【写真:山口真司】

2022年2月、近藤真市氏は岐阜聖徳学園大学の硬式野球部監督に就任

 元中日の伝説のノーヒッター・近藤真市氏は2022年2月に岐阜聖徳学園大学硬式野球部監督に就任した。中日の敏腕スカウトとして活動していたが、2021年末に退団し、新天地に飛び込んだ。東海地区大学野球連盟の岐阜県リーグで2022年春は3位、秋は2位。チームに新風をもたらす近藤野球とはどんなものか。ズバリ、それは自身が経験した星野仙一監督率いる中日と落合博満監督率いる中日の野球をミックスしたものだ。

「星野さんの野球って闘争心を全面に出していく。僕は闘争心がない選手って駄目だと思うんです。選手にはそういう気持ちは出していこうよって言ってます。でも野球はディフェンスがしっかりしないと勝てない。だから落合さんの野球。この2つをミックスしたいと思ってやっています」。実際に2人の野球を経験しているのだから説得力もあるし、大きな強みだ。

「熱くなる時は熱くなっていい。乱闘はできないけど、それくらいの気持ちがあって戦っていい」と、あの闘将のように語る近藤氏は試合中、まさに闘争心むきだしで采配を振る。「選手はびっくりしていますよ。普段、僕は怒らないから。それが試合になるとカーってなるんでね」。星野氏は「グラウンドは戦場、ユニホームは戦闘服」とアドバルーンを上げたが、近藤氏もそういう意識を「持っている」という。「スポーツですけど、お互い戦うわけですからね」ときっぱりだ。

 打ってやるぞ、守ってやるぞ、の気迫は欠かせない。「そういうのは絶対出してくれないと。だからシュンとする選手は代えます。気持ちを引いた時点で交代です。全力疾走をやらなかったら交代です。あと、規則を守らなかったらレギュラーでも試合に使わないです」。2022年秋、寝坊して遅刻したレギュラー4番打者を外したという。「その試合、きっちり負けましたけどね。でも、いいんですよ、それで。その選手も理解して、その後、3割打ちましたよ」。

落合氏の野球は「手堅いです。ホント、普通の野球です」

 一方で選手にこんなふうに呼びかけてもいる。「点を取られなければ、絶対負けないわけなので、それを究極的には目指していこうよ」「スコアリングポジションにランナーを送ろうよ」。これは落合氏の影響を受けてのことで「1死一塁でもバントで送ったりもしています」という。さらに「例えば一、三塁でゲッツー。それで1点とりました。アウトになって1点取るっていう野球です」とも付け加えた。

「落合さんの野球は手堅いです。ホント、普通の野球です。でも、まだ予告先発じゃない時、先発投手の奇襲とかをやったりして、何をするかわからないってものを相手に植え付けた。それで、その野球が成り立つんですよ。だって何も仕掛けてないですもん」と近藤氏は説明する。その上で「スチールするよ、するよってしながら、スチールしないとか、そういう嫌な野球ができればいいなと思っています。なかなかそこまではできないですけどね」。

 落合氏の洞察力、観察力は見習うポイントのひとつだ。2010年4月27日の中日対巨人(ナゴヤドーム)では試合中に森球審の体調不良に気付き、交代を促した。「他の人は誰も気付いていなかった。この人はすごいなと思いましたよ」と近藤氏はうなる。「ピッチャーの立ち方がちょっと後ろ体重になっているって言われた時もありました。落合さんはピッチャーのことはよくわからないって言っていたじゃないですか。全然わかっておられましたよ」。参考になることは山ほどあるのだ。

「ディフェンスはしっかりしていこう、でもエラーしたからどうのこうのって僕は全然言わないので、アグレッシブにやってくれって選手に言っています。それで日々成長していこうよってね。エラーしたら次のプレーをしっかりしようよ、みんなでカバーしようよっていうやり方です」。東海地区大学野球連盟の岐阜県リーグで見られる近藤監督の“星野&落合野球”。今後がますます楽しみだ。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

球界群像〜近藤真市編〜

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