藤浪晋太郎は「自分に勝てていない」 ロッテ監督時にトレード模索…井口資仁氏が分析

野球評論家の井口資仁氏【写真:荒川祐史】
野球評論家の井口資仁氏【写真:荒川祐史】

監督時にトレードを模索した藤浪…4戦全敗で正念場「誰でもない、自分の力で」

 今後のキャリアを考えても、今、踏ん張りどころを迎えているのが藤浪(晋太郎)です。ここまで4戦4敗、防御率14.40。特に22日(同23日)のレンジャーズ戦は2回1/3を8失点と苦しみ、コッツェイ監督は中継ぎへの配置転換を決断しました。

 藤浪は対戦打者ではなく、自分に勝てていない感じがします。ストレートが抜けたり引っかかったり荒れてしまうので、腕と体が縦振りになって安定するフォークに頼る。首を振ってフォークを投げると、打者は待っていましたとばかりに打つ。こうした悪いパターンに自分で持ち込んでしまっているところがあります。

 ロッテの監督時代、トレードで藤浪を獲得できないか、球団に相談したことがあります。ストレート自体は勢いもあるし、いいものを持っている。一番の問題は、本人が自信を持って投げられていないことでしょう。ストレートの制球が荒れるのは本人も承知の上。それでも実際に試合で抜けたり、デッドボールを当てたりすると、なかなか次が攻めづらくなる。そうであれば、コーチも交え、バッテリー間で話し合い、配球を工夫すれば解決の糸口は見えてくるかもしれません。

 そもそもストレートが抜けるのであれば、真ん中からベースの外寄りを中心とした配球にしながら、外れたストレートが右打者のインコースにいく球になれば相手は嫌がる。制球が定まらないことを逆手に取り、内角を要求するのではなく、抜ける球を上手く使えるような配球ができれば、自信がついてくるのではないかと思います。

 今季の4試合を見ても全てが悪いわけではなく、15日(同16日)メッツ戦は6回までは1失点。7回先頭にソロ弾を浴びた後、四球を出して降板しましたが、ああいういいピッチングもできることに自信を持てばいい。この先もメジャーで投げ続けられるのか、正念場に立たされていますが、ここは誰でもない、自分の力で乗り越えなければいけないところ。期待も込めて、見守りたいと思います。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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