創志学園・門馬監督が目指す5度目の頂点 「全国制覇」の横断幕をバックネットに移した意味

選抜を制した山梨学院・吉田監督は「純粋にすごいと思う」

 4月に行われた広陵(広島)との練習試合。相手の先発は選抜でも好投した高尾響だった。0-4で迎えた8回に1点を返し、なおも無死満塁と攻めて、カウント3ボール。押し出しもよぎるところだが、門馬監督は「打てよ! 絶対逃すな!」と声を飛ばした。

 ところが、甘いストレートを見逃し、結局は三振に。後続も連続三振に倒れ、最大のチャンスを逃した。「3ボールからの1球を振れたかどうか。そこで勝負が決まりました。負けている場面こそ、攻めなければいけない。まだまだです」。

 山梨学院の優勝で幕を閉じた今年の選抜は、練習の合間を縫ってテレビ観戦した。「吉田(洸二)監督が、清峰に続いて2校で全国制覇。純粋にすごいと思います。山梨に来てから10年ですよね」。

 バックネットに移した『全国制覇』の横断幕。選手だけでなく、門馬監督にとっても、常に目に映る場所にある。もう、気持ちがぶれることはない。岡山でも、日本一を目指した本気の戦いが始まっている。

(大利実 / Minoru Ohtoshi)

○著者プロフィール
大利実(おおとし・みのる)1977年生まれ、神奈川県出身。大学卒業後、スポーツライターの事務所を経て、フリーライターに。中学・高校野球を中心にしたアマチュア野球の取材が主。著書に『高校野球継投論』(竹書房)、企画・構成に『コントロールの極意』(吉見一起著/竹書房)、『導く力-自走する集団作り-』(高松商・長尾健司著/竹書房)など。近著に『高校野球激戦区 神奈川から頂点狙う監督たち』(カンゼン)がある。

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