慶大スラッガーは鷹・正木より「パンチ力ある」 プロ注目でも…監督が挙げた課題

東大戦で本塁打を放った慶大・廣瀬隆太【写真:小林靖】
東大戦で本塁打を放った慶大・廣瀬隆太【写真:小林靖】

慶大・廣瀬が東大戦でリーグ史上12位タイの通算16号

 プロ注目の慶大・廣瀬隆太内野手(4年)は29日、東京六大学春季リーグの東大1回戦で9回に左翼席へ今季3号ソロを放ち、現役最多の通算16本塁打でリーグ史上12位の小早川毅彦氏(法大)に並んだ。プロ入り後も広島、ヤクルトで活躍し通算171本塁打を放った小早川氏と肩を並べ、あとは慶大の大先輩の高橋由伸氏が保持する23本塁打の最多記録に、どこまで迫れるか。もっとも本人は「偉大な先輩方と並べたことは光栄です」と言いつつ、「力んでしまっては意味がないので、意識し過ぎないようにしたい」と自身に言い聞かせる表情はちょっと冴えない。

 7-3とリードして迎えた9回。先頭で打席に入った廣瀬が、東大の3番手で右のアンダースローの渡辺向輝投手(2年)が投じた真ん中低めの球をすくい上げると、打球は左翼席中段に飛び込んだ。慶大はこの回一挙4得点で、結局11-3で大勝した。

 廣瀬は「今シーズン、バッティングの調子が上がってこない中で1本出せたことは良かったと思います」とうなずいたが、すぐに「甘い球をとらえることはできていますが、凡打の内容が良くない。僕の今の課題は選球眼だと思います」と反省が口をついて出た。

 というのも、今季8試合で3本塁打を量産しているとは言え、打率は.167(30打数5安打)と低迷。10三振も多過ぎる印象だ。1年生の秋季リーグからレギュラーに定着し、コンスタントに本塁打を放ってきたが、打率は1年生の秋の.351(リーグ4位)がピークで、その後は下降傾向にある。この日も最終打席で1発を放つまでの4打席は、無安打1三振だった。

 慶大では2年先輩の正木智也外野手が、一昨年のドラフト2位でソフトバンクに入団し、1年目の昨年は1軍で3本塁打を放った。同じ右打ちのスラッガーの2人を比較し、慶大の堀井哲也監督は「身体能力、パンチ力は廣瀬の方がある。あとは、対応力をこの1年でどれだけ積み上げていけるかだと思う」と指摘。「彼が打てば、チームは優勝に近づく」と主将でもある廣瀬に対する期待を新たにした。

 過去の大学出身のNPB野手を見ていると、4年間トータルの成績も重要だが、それ以上に、最終学年の4年生での成績がプロ1年目に直結するケースも多い。それだけに、廣瀬にとって重要な1年になる。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY