1年ぶり先発で“6回ノーノー” 西武が脱帽した北山の投球術「変化球が頭をよぎったら…」

西武・松井稼頭央監督【写真:矢口亨】
西武・松井稼頭央監督【写真:矢口亨】

左打者にはチェンジアップ、右打者には“曲がり球”

 象徴的だったのは初回、1番・愛斗が右飛に倒れた後、1死走者なしでの鈴木の打席だった。左打者の鈴木は初球の内角高めの148キロの速球を見逃し1ストライク。2球目には、対角の外角低めのチェンジアップを空振り。最後は外角高めの148キロの速球を振らされ、3球三振に倒れた。鈴木は「やはりいい投手ですね。初回は、リリーフの時よりもいい真っすぐが来ていると感じました。球速自体はリリーフの時の方が出ていたかもしれないですけど、伸びが凄かった。チェンジアップもうまく抜けていた。さすがに回を追うごとに球威は落ちましたが、それでも変化球が頭をよぎってしまったら、当たる真っすぐではなかったです」と脱帽した。

 一方、右打者は「ストレートか、それとも曲がり球か。狙い球がどっちつかずになってしまった」(平石ヘッド)。両チーム無得点の3回には、四球をきっかけに2死三塁の先制機をつくり、右打者の愛斗が第2打席に入った。ボールが2球先行したが、3球目から外角に150キロ超の速球が3球続き、愛斗は見逃しストライク、ファウル、ファウル。6球目は一転、124キロのカーブにバットが空を切り、三振に仕留められた。

 愛斗は「リリーフの時と、印象の違いはないですよ。真っ直ぐが強い。真っ直ぐがいいからこそ、変化球に対応することも難しくなります。真っ直ぐをいいコースに、いい球質で決められたから打てなかったのだと思います」と語った。この日、北山に対し最もいい当たりを放ったのも愛斗だった。6回2死走者なしで、真ん中の144キロの速球をとらえ、レフトへ痛烈なライナーを放ったが、左翼手・矢澤宏太のグラブに収まった。愛斗は「最後の打席でとらえられたので、次回の対戦であの感じでいけば……。甘いところに来れば芯に当たる、という感じで振っていった方がいいと思いました」と手応えをつかんだ様子だ。

 松井監督は「次回の対戦があれば、しっかり対策を練ってやり返せるようにしたい」と語気を強めた。リーグ2位のチーム打率.247(4日現在)をマークしている西武打線が、次は牙をむく番だ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY