勝利投手の賞金を超えた罰金 前代未聞の珍プレー…闘将が激怒した“とぼとぼ走り”

まさかのセンターゴロで罰金10万円「何を言われても仕方ない」

 後に鈴木氏は北村氏に聞いたという。「バッターがピッチャーの時にいつかやってやろうって思っていたんだって。右中間をちょっと詰めて、そしたら、理想的な打球が飛んできたんだって。俺がなめていたから、ああなった。赤っ恥だった。ホント恥ずかしかった」。その試合、先発した鈴木氏は6回3失点で勝利投手になった。試合後のミーティングはセンターゴロの件について何も触れずに終了。星野監督が監督室に向かおうとしたタイミングで、コーチの1人が「今日の孝政のセンターゴロはどうしますか」と聞いたという。

「問題外じゃあ!」。闘将は一声、そう吠えて去って行ったそうだ。「そりゃあ問題外だもん。何を言われてもしかたがない。罰金10万円。勝利投手の賞金は7万円だった」。そんな星野監督について鈴木氏は「闘将のイメージを消したくないし、作らなければいけなかっただろうしね」と話す。

 昔を知るからこそ、そう思えるのだろう。そして、星野監督の現役時代を知る選手とは「やりにくかったんじゃないかな」とも言う。平野謙氏(中日→西武)、中尾孝義氏(中日→巨人)、大島康徳氏(中日→日本ハム)ら「何人もトレードでいなくなったでしょ。俺も出されそうになったみたい。仙さんに直接言われた。“お前はそんなに大事なヤツか”って。球団に駄目って言われたみたい。そんなこともありました」と明かした。

 星野監督のトレードは「選手を生かすトレード」として知られ、実際、平野氏も中尾氏も大島氏も新天地で大活躍したが、鈴木氏にもその可能性があったということだろうか。もしかしたら紙一重だったのかもしれない。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY