天才たちの“異常な感覚”に「僕なんか追いつけない」 当たり前の光景に抱いた危機感

広島の代打の切り札として活躍した浅井樹氏(写真は2003年)【写真:共同通信社】
広島の代打の切り札として活躍した浅井樹氏(写真は2003年)【写真:共同通信社】

浅井樹氏は遠征の際、野村謙二郎氏&緒方孝市氏と一緒に球場へ移動していた

 野村謙二郎氏と緒方孝市氏。いずれも現役時代は主力選手として、引退後は指揮官としてカープを支えたが、この偉大な2人に元広島外野手の浅井樹氏(現カープ・ベースボールクリニックコーチ)はよく勉強させてもらったという。3人が選手だった頃、遠征先の宿舎、球場間の往復タクシー移動はこのメンバーで行くことが決まっており、その車中で野球談義を繰り広げていた。「まあ、熱かったですよ」と懐かしんだ。

「カープって当時、遠征先で球場までの移動はバス1台とタクシー数台で行くんですよ。で、そのタクシー組の1台が野村、緒方、浅井で決まっていた。野村さんが助手席に乗って、僕が運転手の後ろ、そして緒方さんって配置も決まっていたんです」。浅井氏は振り返りながら、笑みを浮かべた。

「行きは3人とも寝ているんですけど、帰りは勝っても負けても野球の話でした。“おう、今日の何回のあれ、どうだった”みたいな感じで野村さんが言ったら、緒方さんもそれに答えて。2人の”あそこはやっぱりああだろ、こうだろ”っていう話を聞かされているから、2人の野球観っていうのは僕もなんとなくわかったような……」

 2人の話を聞くだけでなく“議論”には浅井氏も参加していたそうだ。「僕の意見もちゃんと聞いてくれましたからね。お前どう思うんや、僕はこうこうこうですってね。ホント、貴重な時間だったですよ。たまに、その流れで“飯行くぞ”ってなった時もありました。もちろん、またそこから野球の話でしたけどね」。

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